要介護状態と要支援状態…違いをご存知ですか? 介護サービスの利用にあたり知っておきたい基本用語

平藤 清刀 平藤 清刀

今は若くて健康でも、いずれは多くの人がお世話になる介護業界。自分じゃなくても家族の誰かがお世話になるかもしれない。ケアマネージャーと連絡を取り合う際に、知っておいたら話が分かりやすくなりそうな用語を、筆者の両親がお世話になったケアマネージャーのEさんに聞いた。

「高齢化社会」ってどんな社会のことで、「介護」ってナニ?

よく聞く言葉だけど「高齢化社会って、どんな社会のことですか?」と尋ねられて、正しく説明できるだろうか。

「65歳以上の高齢者が総人口の7%を超える割合を占めていたら『高齢化社会』といいます。日本は14%を超えています」

年を取っても元気でいられて、日常生活を不便なく送れていれば問題はない。だが、加齢とともに体がいうことをきかなくなったり認知症も出てきたりしたら、介護が必要になってくる。

「そもそも『介護』とは、ひとつは障がい者の生活支援があります。もうひとつは、高齢者や病人の介抱やお世話をすることをいいます」

介抱やお世話を実現する手段としてプロの介護事業者がいて、様々な形でのサービスが展開されているのだ。

「ケアマネージャー」って何する人?

「ケアマネージャー(ケアマネ)」は、介護が必要な人のためにサービス業者との連絡や調整を行ったり介護保険の窓口的な役割を担ったり、ケアプラン(介護サービスの計画書)の作成をする人のこと。

「介護に関して総合的なマネージメントをやりますから、援助のすべての過程で、利用者さんや家族の方とかかわりをもちます。ケアマネージャーを頼みたいときは、役所の介護保険を担当している部署とか最寄りの地域包括支援センターに相談すれば、ケアマネージャーが在籍する事業所のリストをくれます。あるいは、すでに介護サービスを利用している人が近所にいたら、紹介してもらってもいいですね」

ちなみに筆者の両親(ともに80代後半)は、すでに介護サービスを利用しているご近所さんからケアマネージャーを紹介してもらった。

ところで、ケアマネージャーの仕事内容をみると、素人ながら「民生委員」と混同してしまいそうだが?

「民生委員は、生活に困窮している人の指導や保護を行ったり、相談とか援助を行ったりする人です。ケアマネージャーは介護保険から報酬を得ますが、民生委員はボランティアです」

たしかに民生委員は基本的にボランティアだが、交通費や通信費のほか研修参加費など、一定の費用は自治体から交付される。

「要支援状態」と「要介護状態」

「うちのお父さん、介護認定を受けて要介護4になった」とか「お母さんも高齢で、要支援2になった」などの話を耳にしたことはないだろうか。

「要支援状態」と「要介護状態」。漢字で書いたら雰囲気はなんとなく分かるものの、具体的にどう違うといわれたら言葉に詰まってしまう。

「介護保険制度上での定義になりますが、両者に共通しているのは『身体上または精神上の障がいがある』という前提です」

■「要支援状態」とは、入浴、排泄、食事、洗濯、買い物など日常生活における基本的な動作に支障があると見込まれる、あるいは状態が悪化することを防止するための支援が必要と見込まれる状態で、要介護状態になる恐れが見込まれる状態のこと。「要支援1~2」のレベルがあって「要支援2」のほうが状態は重い。

そして「要支援者」とは、要支援状態にある人のことをいう。

筆者が両親を見ていた経験則をいえば、要支援の段階ならば、支援を受けながら、老夫婦2人で生活できていた。

■「要介護状態」とは、入浴、排泄、食事など日常生活における基本的な動作の全部または一部について常に継続して介護が必要で、人の手を借りなければ日常生活がままならない状態のこと。「要介護1~5」のレベルがある。そして「要介護者」とは、要介護状態にある人のことをいう。

「介護保険によるサービスを利用したいときは、『どのような介護がどのていど必要か』を判定しなくてはなりません。受けられるサービスも、区分によって異なります」

「要支援1~2」と「要介護1~5」あわせて7つのレベルを「要介護度」といい、介護認定審査会による1次判定と2次判定を経て7つのどこかに分類される。ケアマネージャーは、その分類に応じたケアプランを作成するわけだ。

「いったん認定を受けたら一定期間は変更されませんが、見直しは可能です。それを『区分変更』といいます」

最後に余談ながら、ケアマネージャーは介護事業所の職員なので、人事異動がある。そのため、事業所の都合でケアマネージャーが替わることがある。

また、いま担当してくれているケアマネージャーと、どうもウマが合わないというケースもあり得る。そういう場合は事業所に申し出れば、ケアマネージャーを交代してもらえることも覚えておこう。

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