黒猫のジジくんは、迷子の猫だった。警察で飼い主の迎えをまったが、誰も現れず、届け出もなかった。保護団体から里親希望者に譲渡されるも夜泣きがひどいと返されてしまった。しかし、ジジくんは持ち前のフレンドリーな性格で幸せをつかんだ。
迷い猫、譲渡されるもうまくいかず
千葉県の住宅地にいた黒猫は、近所の人に保護された。首輪をしていたし、人懐っこく、去勢手術もしてあったので、間違いなく誰かが飼っていた猫だった。家の中と外を自由に行き来している外猫なのかもしれなかった。いずれにせよ迷い猫のようだったので、保護主は、警察に猫を連れて行った。しかし、飼い主は現れなかった。2016年の年末、警察は保護団体ニャンピースに猫を託した。
ニャンピースは黒猫を譲渡したが、1カ月経った頃、返されてしまった。大きな声で夜中に鳴くので飼えないという。再び里親を探すことになった。
偶然の出会い
2017年3月、千葉県に住む堂前さんは、ぽてくんという元保護猫を飼っていた。新たに猫を迎えるつもりはなかったが、ふらりとニャンピースの譲渡会に行ってみた。スタッフに「大きな猫がいるけど、抱っこしてみませんか」と言われ、抱いてみるととても人なつっこい猫だった。齢は5歳くらいだった。
「いずれは2匹目を迎えるつもりでしたし、せっかく出会ったのだから飼ってみようと思いました。ぽてにも相棒がいたら友達のようになれるかもしれないし、留守番中も安心なので」
3月からトライアルがスタートした。
いつの間にか一緒に寝るように
先住猫のぽてくんはシャーシャーと威嚇した。一方、ジジくんと名付けた黒猫は、威嚇されてもまったく意に介さなかった。
威嚇するぽてくんと素知らぬ顔のジジくん。2カ月くらい状況は変わらなかった。ぽてくんは弱いのにすぐにケンカを売るタイプ。ジジくんは身体が大きくて、どっしり構えていて、対照的だった。しかし、いつの間にかこたつの中で2匹くっついて寝るようになったという。
「実家にいる時は、ずっと犬と一緒に暮らしていました。いまも動物と一緒にいたい気持ちが強いので、2匹の猫と暮らせるようになり幸せでした」
ぽてくんとジジくんは、ベタベタ一緒にいるわけではないが、堂前さんが帰宅すると2匹一緒に寝ていることがある。
「留守中も安心だし、2匹にしてよかったなと思っています」