日本人に1割程度存在しているといわれる「左利き」の人たちですが、実は「ボールペンで文字が書きづらいと感じている」ってご存知でしたか? その理由を分かりやすく図解したTwitterの投稿がこのほど注目を集めていました。左利きの人は、文字の書き順の都合でペンを押しながら書くことが多いためだといいますが、筆記具メーカーのアンケート調査によると、書きづらいと感じる理由はほかにもいろいろあるようです。悩みに応じたボールペン選びのヒントを教えてもらいました。
話題の図解を投稿したのは、「30代夫婦による噂の気まぐれ素人音楽ユニット」を名乗る「ASS MAGIC@音楽ユニット」(@ass_magic2019)さんです。
文字を書く時には、左から右へ線を引くことが多いですね。そのため、左利きの人はボールペンで文字を書く時、どうしても先端のボールを「押して転がす」ことになりがち。そこでインクがスムーズに出ることができず、詰まってしまったり、かすれてしまったりするというのです。
聞いてみると、お二方のうち夫さんの方が左利きといい、「たぶん分かってない人けっこういるだろうなと思って図解しました。もう慣れっこだし、そんなに気にしてないですけど」とのこと。リプライ欄には「(この図を見て)長年の謎が解けた」「家にあるボールペンがダメなんじゃなくて、左利きのせいだったのか」「不良品の壊れたペンばかりだと誤解していた」「これはイグノーベル賞」といった声が多数寄せられています。
こちらも左利きの大きな悩み…2人に1人が「字や手が汚れる」
左利きの人がボールペンで感じている苦悩については、筆記具メーカー・ゼブラも調査をしています。2016年3月に、全国の左利きの人104人に対して行ったアンケートによると、左手で使いにくい筆記具として、各種ボールペンをあげた人が3割超に。
また、左手で文字を書くうえで不便なこととして「ペンを押しながら書くため、線がかすれる」といった項目に加え、2人に1人が「インクが乾いてなくて字や手が汚れる」と回答していたといいます。
そのため、ペンの持ち方を工夫する人も数多く、「手が紙につかないように少し浮かせて書く」「紙をななめにする」といった対処法が寄せられたといいます。また、同社から販売されている超速乾性のインクを用いたボールペンが、書いた直後に手でこすっても汚れないと「左利きにとって『神ボールペン』」と称されていたことが紹介されています。
同社の担当者に聞きました。
――「神ボールペン」とはすごいですね…。
「2016年2月に発売された『サラサドライ』というジェルタイプのボールペンです。発売直後からユーザーさんの間で『左利きにいい』という評判が聞かれていました。また、当時は『左利き専門店』が話題になっており、左利きと筆記具の関係をしっかり調査したいと思い、利き手による悩みをアンケートしました」
――サラサドライは左利きの人向けに特別に開発された商品だったのでしょうか。
「当初は左利きへの訴求は大々的にはしていませんでした。もともとは右から左に文字を書く『押し書き筆記』の文化がある国々向けに開発がスタートした商品でした。その後、左利きの人口が多く、汚れの不満があるという理由で米国から販売が始まり、日本では、書いてすぐ触れると手や書類が汚れてしまうというユーザーの不満を解消するためにサラサドライとして発売しました」
悩み別に…商品の選び方は
左利きの人が感じる悩み別に、どのようなボールペンを選べばよいのか、同社のおすすめ商品を聞いてみました。
なお、ボールペンには「油性」「ジェル」「エマルジョン」など、インクの種類別にさまざまなタイプのものがあるといい、同社ではこちらの資料のように整理しています。前述のサラサドライは「ドライジェルインクボールペン」に区分されるといいます。
(1)寝かし気味に押し書きすると、チップの淵あたり(チップの角が紙に接触する)により、ガリガリして書きにくい
淵あたりしにくいチップを採用しているボールペンがよいですね。
▽ゼブラの商品例:
・油性ボールペン(ジムノック、タプリ、スラリなど)
・ボール径大のジェルインクボールペン(サラサクリップ0.7など)
・サラサドライ0.5、0.7
(2)インク排出量が低くなり、文字のかすれが気になる
押し書きに関しては油性インク系が比較的排出量が安定しています。また、ボール径の大きなジェルインクもインクの排出量が安定したつくりになっています。また淵あたりしにくいチップのつくりも関係しています。
▽ゼブラの商品例:
・油性ボールペン(ジムノック、タプリ、スラリなど)
・ボール径大のジェルインクBP(サラサクリップ0.7など)
・サラサドライ
(3)手が汚れるのが許せない
超速乾性のインクを使っているものがよいでしょう。
▽ゼブラの商品例:
・サラサドライ
…だそうです。
◇ ◇
ちなみに、話題になった図を自作して投稿したという「ASS MAGIC@音楽ユニット」さん。下記のような曲をつくられていますよ。今回の投稿にあわせて「ついでに自作曲を宣伝したんですが、あまり聴いてもらえなかったのが悲しいです」とのことですので、関心のある方はチェックしてみてください!