1本4500円の“超高級ビール”を発売、サントリーがコロナ禍で攻める理由

服部 健二 服部 健二
1本4500円のザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉2020
1本4500円のザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉2020

サントリービール株式会社は18日、『ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉2020』を発表した。なんと1本あたりの価格は4500円(税別・送料込)と、“超”がつくほどの高級ビール。これまでキャンペーン商品として、2016年〜2018年に製造してきたが、2020年はいよいよ発売となる。とはいえ、数量限定2600本でメルマガ会員向けへの抽選販売。現在、メルマガ会員は約110万人となっており、全員が応募した場合の当選確率は約0.23%。争奪戦必至の“狭き門”となっている。

過去に高額で販売されたビールとしては、国内では2010年にサッポロビール株式会社が、“宇宙の大麦”でつくった麦芽を100%使用した『スペースバーレイ』がある。6本入り10000円(1本あたり約1667円)だったこと踏まえると、同製品はその3倍近い価格。さらに、製造工程が宇宙などの特殊な条件下ではないだけに、極めて高価なビールと言える。

“超高級ビール”に、同社の攻めの姿勢が表れている。新型コロナウィルスの感染拡大予防に伴い、外食によるビール消費量は激減。一方で家飲みは加速している。「こういう状況だからこそ、家飲みでも、普段と違うビールを楽しんでいただきたい」(同社広報)と、消費者にこれまでとは違うビールとの付き合い方を提供したい意向。また、10月に予定されている酒税改正(ビール、発泡酒が1リットルあたり20円の減税、第3のビールは28円増税)も商機と判断。これまで高額で敬遠されがちだった「プレミアムビールにもチャンスが到来することも踏まえ、こだわり抜いた特長のある商品で、改めて『ザ・プレミアム・モルツ』に注目を集めたい」(同社広報)と、コロナ禍で低迷する消費に大きなインパクトを与える。

4500円という価格設定には、それなりの裏付けもある。「中味、包材、すべてにこだわりが詰まった商品になっています」(同社広報)と自信をみせる。もともと、“プレモル”には、いくつか種類があり、レギュラー品の『ザ・プレミアム・モルツ』と上級品の『マスターズドリーム』では、市場価格で1.5倍程度の差がある。その上級品をさらに極め、ウイスキーの「山崎」で使用された樽で熟成させており、ビール史上、ありえないほどの高級品となっている。

購入の応募期間は8月18日から9月29日まで。当選者には10月以降の発送となる。購入資格があるメルマガ会員には、今からでも登録可能なので、ビール好きはこの機会を逃す手はない。

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