江戸時代の町並みに、突如、紫色の巨体が現れた―。人気アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズに登場する人造人間「エヴァンゲリオン初号機」が東映太秦映画村(京都市右京区)にお目見えした。隣接する東映京都撮影所のスタジオの外壁には「特務機関NERV(ネルフ)」のロゴマークも。NERVは新規パイロットの公募を近く始め、東映太秦映画村内にできた「エヴァンゲリオン京都基地」で適性検査を実施するという。謎に包まれた基地の内部に記者が潜入した。
「エヴァンゲリオン」シリーズは、1995年にテレビ放映を開始したSFアニメだ。大災害が起きた後の世界を舞台に、「エヴァンゲリオン」のパイロットとなった少年少女と「第3新東京市」に襲来する敵「使徒」との戦いを描いている。
で、なぜ東映太秦映画村内にNERVの基地ができたのか。運営する「東映京都スタジオ」の広報担当者は「お客様から『あれは何だ』と尋ねられますが、『いつの間にかNERVが侵入して基地を作っていました』とお答えしています」と説明する。
どうやら、京都市に出現する使徒から街を守るためにNERVが建設した、ということらしい。新規パイロット募集に応募した候補生たちは基地でさまざまなテストを受け、エヴァンゲリオンとパイロットの同調率「シンクロ率」の高い者がパイロットとして登用されるという。
NERVが行う適性検査とは、一体どのようなものなのか。7月下旬、記者は基地に立ち入った。初号機はLCL(エヴァンゲリオンの操縦席「エントリープラグ」内に満たされる液体)から高さ15メートルもの巨大な上半身をのぞかせている。
突き出した手のひらに乗ると、その大きさに圧倒された。大変なところへ来てしまった。恐怖心が一気に高まったが、「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」と自分自身に言い聞かせ、基地の中心部に向かった。
「新人パイロット各位」。入り口には案内役・葛城ミサトのメッセージが掲示されている。「エヴァにも直接乗るから緊張感を持って挑んで下さい」という言葉に身が引き締まる思いがする。候補生用のカードに印字されたQRコードをリーダーにかざし、身長を測定するボディースキャンゲートをくぐった。
まずは心理検査から。スマートフォンでQRコードを読み取ることで受検できる。回答は選択式で、私はどの設問においても「協調性が低い」と診断されてしまった。次は学科試験が待ち受けている。エヴァンゲリオンシリーズに関する全4問で、記者は回答するのに非常に苦労した。最後はエントリープラグの試乗。内容は搭乗してのお楽しみだ。
そして、ついにシンクロ率が発表された。もしシンクロ率が高かったら、パイロットに転職か? 覚悟を決めて臨んだが、結果は31.6%で、4段階のうち下から2番目の評価。弐号機パイロットの惣流・アスカ・ラングレーから「本当、嫌になるくらい平凡ね!」と言われてしまい、転職の夢、いや杞憂はあっけなく終わった。
10月3日の基地のグランドオープンに先駆け、8月1日~9月27日に抽選で先行体験が行われるとのことだ。1日4回で、各回30人選ばれる。参加費は千円(入村料が別途必要)。申し込みは東映太秦映画村公式ホームページから。