たった一枚の折り紙からペガサス、マンモス、猫などの動物を折ることができる「心が折れるおりがみ」シリーズがSNS上で話題になっている。
僕は無粋なもので大人になってからはなかなか手にする機会が無いのだが、おりがみと言えば井原西鶴の「一昼夜独吟四千句」(1680年)で既にその存在が記載されている日本の伝統文化。その素材と造形の美しさから近年は芸術作品としても注目を集めているようだ。しかしこのシリーズの"心が折れる"というワードにはいったいどういう意味が込められているのだろうか。
このシリーズを世に送り出した株式会社トーヨーの企画開発担当者の方にお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):「心が折れる」とは「心が表現できる」という意味でしょうか、それとも「心がくじける」という意味でしょうか?
担当者:商品名は「超難解折紙」。意味としては「心がくじける」と言った意味です。折紙の作品が折れる前に、製作する人の心が折れるぐらい難しいおりがみのシリーズです。
中将:折り方の難しさとは反対に、ネーミングは超シンプルなんですね!ついつい深読みしてしまいました……。
このシリーズを企画した狙いをお聞かせください。
担当者:折紙と言う物は、日本にいらっしゃる方ならほとんどの人が知っているのではないかと思います。しかし、子どもの遊びと言う認識が強く、芸術性の高い素晴らしい作品や多くの作家の方がいる事はあまり知られていません。その為、世間の方に、この素晴らしい折紙の世界をもっと知っていただきたいと思い、企画いたしました。この様な上記の熱い思いも当然ございます。
それとは別に、企画開発部内の雑談で「折れない」折紙でも作るかと言う冗談を、真面目に考え商品化に至ったと言う側面もございます。折れないぐらい難しい作品を商品化すると言うのは中々挑戦的で面白いのではないかと考え、難易度的に「折れない折紙」を作ろうと考え、企画しました。
中将:冗談を本気でやっちゃうセンス大好きです!やっちゃえトーヨー! で、担当者さんもこのシリーズに挑んだ事はあるんでしょうか?
担当者:折り方の説明図の確認等で何度も製作はしております。本当に難しいですが、ただの正方形の紙が、ペガサスやネコ等様々な形に変化していく折紙は何度折っても感動します。ちなみに、企画開発部内で何名か折ってもらいましたが、心が折れかけていました。
中将:ペガサスとかなんで一枚の紙から折れるのか意味わかりませんよね……たしかに心が折れそうですけど、完成時の感動はひとしおだと思います!
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昨年登場した超難解折紙は噂が噂を呼んで人気が拡大しており、今年3月には第2弾となる「ユニコーン」と「マンモス」が発売。
今後も新たな作品を定期的に入れ替えていく予定ということだ。手先の器用さと精神力に自信のある方はぜひチャレンジして無上の達成感を味わっていただきたい。