元プロレスラー・長州力がツイッターのアカウントを開設して半年。ツイッターを「ツイスター」、フォローを「セーブ」、フォロワーを「FLOWER」と書き、大反響を呼んだ「ハッシュドタグ 井長州力」…と、SNSに慣れ親しんだ人には思いもつかないフレーズを生んだが、身内に呼びかける「業務連絡ツイート」も特徴として挙げられる。リキ・ツイートに登場する関係者の1人である「谷やん」こと所属事務所社長でマネジャーの谷口正人氏は当サイトの取材に対し、「長州ツイートベスト3」を挙げた。そのすべては広告案件だった。
谷口氏が長州ツイートの「混乱期(2月中旬~3月末)」と指摘する時期に、3月16日付の「谷やん、広告の話ってなに?やりかたを!?」という業務連絡投稿がある。LINEでやるような身内の連絡をツイッターで全世界に発信するという長州ワールドだが、第三者には意味不明。当事者の「谷やん」に確認した。
谷口氏は「自分の名前は出さないで欲しいと懇願しているのですが。業務連絡発信はまさに黎明期だからこそのアクシデントですね」と困惑しつつ、「これはギャツビーのフェイシャルペーパーで、初めての広告案件でした」と説明した。
同氏は今年上半期の長州ツイートで「ベスト3」の1位として、その翌日の「3月17日のギャツビーの広告」を挙げ、「写真を貼り忘れ、マスコミさんにもいろいろと取り上げていただきました」と振り返る。
長州は「Twitterで初めて広告のお仕事をいただきました さっそくですけど、この商品知ってますか 気分飛んでリフレッシュできるよ」と投稿したが、肝心の商品写真がない。その直後、「やっちまったかあ 間違えて写真をあげていませんでしたね」と再投稿し、逆に反響を呼んだ。
谷口氏による2位は「7月1日のLINE/ツムツムさんの広告です。世界のディズニーのキャラクター名を依頼された仕事なのに、間違えて全世界に発信したのは長州力が唯一無二ではないでしょうか?サラマンダーをサマランダ―と認識していました。しかし世界のディズニーさんですね。『訂正投稿をいれて頂けたらツイートは消さないでいいですよ』と懐の深さを感じました」という。
長州は「エルサ&サマランダーのツムが登場しました」と投稿後、【スタッフからのお詫びと訂正】として「サマランダ―は誤りで、正しくはサラマンダーでございます」という文面が同アカウントにアップ。「なぜお詫びと訂正だけでこんなにホッコリするんだ」といった好意的なリプが相次いだ。
「3位は5月22日のクレイナルさんというシャンプーの広告です。こちらは商品名を間違えるという衝撃でした。まさか商品名は間違う人はいないと思っていました。クライアントさんがなぜかお喜びになったということで私自身が混乱してしまい取り乱していたと記憶しています」(谷口氏)
長州ツイート(抜粋)「自分はシャンプーのことなんかわからなく、なんだか申し訳ないです!今度、栗ちゃんの美容室に行くので聞いてみますが、こういうのはまず栗ちゃんに聞けば間違いないですから #クレナイル」。最後のハッシュタグで商品名を間違えた。蛇足ながら「栗ちゃん」も第三者には「?」だ。
谷口氏は長州の広告案件ツイートについて解説した。
「SNS自体、誹謗中傷が入れ乱れたすごく窮屈な場所になっているような気がしていまして、長州力のように誰かを誹謗中傷するわけでなく、ただただ自由にやっているのは素敵だなと、小さい風穴くらい空けてみたいなと思ったことはありました。広告も堂々と『これは広告です』と打ち出して、あとは言葉の力で皆さんが喜んでくれる新しいマーケティングができたらと、想像しているだけで楽しかったですね」
肝心の商品名を間違えたり、写真を掲載し忘れたり…。だが、それが逆に効果を生んだという。
谷口氏は「企業様に『もしかしたら大変な間違いを犯して迷惑をかけるかもしれないです』とは伝えさせていただき、理解を得ることができました。普通は理解しないですよね。担当者から『むしろ失敗してもらいたい。長州さんなら許される』みたいにおっしゃっていただき、がく然とした記憶があります。間違っても、本人は本当に一生懸命に頑張って奥さんにも協力してもらいながら文章を作って投稿しているので、そういう姿勢もクライアントさんに伝わっているのかもしれませんね」と明かす。
広告以外で、記者が興味を持つ投稿には、長州が初孫と接する祖父としての顔がある。6月19日付「慎太郎~外は寒いのか~?」で、慎太郎を孫の名前と思い込んで感動し、谷口氏に確認すると「慎太郎は娘婿の名前です」。長州の世界に浸っているうちに、思い切り間違っている自分がいた。