Zoomの画面表示に上座下座があった!? 新時代の足をひっぱる日本人のおかしなマナー意識

中将 タカノリ 中将 タカノリ

 新型コロナウイルスの流行以来、Zoomを用いる機会が増加している。ミーティング、会議、飲み会から果ては霜降り明星・せいやさんのように“恋人”との逢瀬まで……さまざまなシーンで相手とオンライン動画で対面できるという便利この上ないツールなのだが、広く一般に用いられるようになった影響で、その運用にある変化が起こっているという。

 それは「マナー」の出現。SNSに上がるさまざまな報告を見ていると、現在Zoomをめぐり、服装、たたずまい、退出順にはじまり、中には画面表示についてどこが上座下座にあたるのか気にする輩まで現れているということだ。

 いかにも日本人らしいせせこましい発想だが、社会でZoomを活用する人々はこの新たなマナー出現についてどのような考えを持っているのだろうか。PRプランナーの八尾里美さんにお話をうかがった。

中将:八尾さんは仕事柄、大勢の人とミーティングや会議をする機会があると思いますが、Zoomを利用することはありますか?

八尾:以前もたまに遠くの方と打ち合わせする時に使っていましたが、コロナが流行してからは急激にZoomを使う頻度が増えましたね。社内の会議もZoomになりましたし。

中将:最近急激に普及したせいか、Zoomの利用についてもマナーを言い出す人が増えたようです。八尾さんの周りではいかがでしょうか?

八尾:私も周りでもありました。気にする人がいるんだなと思って、ステイホームでZoomする時も、服装やメイクの有無などどうすればいいのか少し悩みました。でも本当に気を遣うべきマナーって開始時間に遅れないこととか、会話しやすい環境を整備しておくことですよね。

中将:ほんと気にすべきポイントを間違いすぎですよね。服装、メイク以外でも「無表情でいてはいけない」とか「カメラを逆光にしてはいけない」とか勝手なマナーがでっちあげられつつあるようです(笑)。Zoom画面上の配置に上座下座があるのか気にする人もいるみたいですよ。

八尾:そんなのZoomの開発者も想定してなかったでしょうね(笑)。そんなこと気にしてるの世界中で日本人くらいじゃないんですかね……。

中将:にわかに信じがたいですが、SNS上の報告によると上座、上役の画面を大きく表示したいとか言う人まで出現してるみたいです……。

八尾:「ちっせーなー」って思いますよね。昆虫や軟体動物とかでピンチになったら体を大きくするやついるじゃないですか?上座だから画像を大きくするとか真剣に考えてる人にはそれと同じマインドを感じますね。

中将:八尾さんは世代的に上座下座みたいな文化ってどう感じていますか?

八尾:気にする人がいるのでこちらも気を遣いますけど、根本的にはハンコと同じで何の意味も無いと思っています。もっと効率や本質的なことを真剣に考えたほうがいいですよね。昭和ならまだしももう令和ですし……。

中将:もし八尾さんの社内でZoom会議内の上座下座導入が検討されたらどうしますか?

八尾:ゼッタイ嫌!会社のためにもならないと思うし徹底反対しますね。

中将:ラプレは頭の柔らかい会社なので有り得無いと思いますが、万が一導入されたらまたインタビューさせてください(笑)。しかしZoomを使うのって実際に会うよりは楽ですが、電話に比べると手間かかりますよね。僕はこのインタビューをするまで昼寝しててグシャグシャだったのでわざわざシャワー浴びて服を着替えました。冒頭でも少しうかがいましたが、女性だと映りの面でかなり気を遣うんじゃないですか?

八尾:確かに最近のPCカメラって性能良くてはっきり映るから、すっぴんやテキトーなメイクしてる時は凄く困るんですよ。でもそういう時におススメのZoomハックがあります。

中将:ほほう、どんなハックでしょうか?

八尾:カメラにリップクリーム塗るんです。自分を綺麗にするんじゃなくてカメラ側を強制的にグレードダウンさせるんです(笑)。

  ◇  ◇

 形だけのマナーや上座下座の設定になんの意味があるのか……そんな熱い会話を繰り広げながらも退出時には「お先にどうぞ」合戦をしてしまった僕たちであった。

 今後もZoomなどのオンラインミーティングツールはさらなる普及をみせるだろう。将来、その画面上がガチガチの堅苦しい空間になることを避けるためにも、今のうちから不要なマナー論は積極的に排除していくのが賢明だと思うのだが…いかに。

八尾里美(やお さとみ)1988年兵庫県生まれ。兵庫県出身。同志社大学卒。株式会社ラプレ勤務。多種多様な企業のPR、ブランディングを手掛けるかたわら、企業、経営者、自治体向けのセミナー講師としても多数講演している。

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