新型コロナウイルスの感染拡大で、スポーツ取材の現場も大きく変化している。先月30日のJ1神戸・酒井高徳選手に続き1日、C大阪・永石拓海選手が新型コロナウイルスに感染していたことが発表された。いずれも記者を会見場に集めて行うものでなく、ウェブ上での会見となった。
使用されているビデオ会議アプリは「Zoom(ズーム)」だ。すでにJリーグではいち早く理事会などもこのソフトを使ってウェブ会見を行っており、プロ野球界ではDeNAが横須賀の自主トレ取材で採用している。
ビデオ会議はもともとIT業界などでは一般的だったが、在宅勤務の増加でビジネス界全体に普及。プロ野球やJリーグなど、スポーツ界でも採用されはじめている。その中で急速に知名度を上げているのがアメリカ、カリフォルニア州に本社を構える「ズームビデオコミュニケーションズ」が提供するZoomだ。このZoomとはいったい、どういうサービスなのだろうか。
インターネット環境とデバイス(PCでもスマホでもOK)さえあれば、ミーティングに参加することができるビデオ会議。お互いにIDを持っているユーザー同士であればSkype(スカイプ)でもビデオ会議は可能だが、Zoomはさらに手軽にビデオ会議に参加できる。
主催者は、会議を開催する際にIDを発行。参加するメンバーに会議ID、もしくは、そのURLをメールなどで知らせるだけ。あとは参加者がアクセスするだけで、簡単に会議に参加することができる。参加者は、新規でIDを登録したり、専用アプリをダウンロード、インストールしたりする必要はなく、また、専用アプリだけでなく、ブラウザから参加することもできる。
お互いの顔を見ながらのビデオ会議や、音声のみで参加するなど、状況に応じて選ぶことができる。さらに「バーチャル背景機能」があり、背景を自分の好きな画像にすることもできるので、在宅勤務で散らかっている部屋を見せたくないときなどに便利だ。
使用されるデータ量が少ないことも特徴で、1分あたりに使用されるデータ量は3.3MB〜5MB程度。スカイプだと36MB程度と言われており、1/10に抑えられている。そのため、通信も安定しており、途切れにくいため、通信環境が会議に水をさす、といった課題も解決できる。
有料プランは、企業規模に応じていくつかあるが、無料プランでも40分間、100人まで参加可能となっている。
在宅でウェブ会見に参加した記者は「まったく問題ないですね。質問もできるし、音声もきれいに聞こえました」と話した。また「会見を行う発信側にとってはメリットがあるでしょうね。会場を確保する必要はないです。緊急的な会見で今後も使われるのではないでしょうか」(デイリースポーツ報道部・岡本浩孝デスク)と、Zoomの普及でコロナウイルスの脅威が去ったあとも、会議や会見で利用されそうだ。