コロナ禍で北海道展はどう変わったか 「新しい生活様式」で売り場の「3密」対策は?

天草 愛理 天草 愛理

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言や外出自粛が解除された一方、密閉、密集、密接の「3密」を避けるなど「新しい生活様式」が求められようになった。それでは、百貨店の人気催事の一つで大勢の人でにぎわう「北海道物産展」は今、どうなっているのだろう。ジェイアール京都伊勢丹(京都市下京区)で開催中の「夏のおいしい北海道展」に足を運んでみた。

 訪れたのは6月29日月曜日の夕方。10階の特設会場は、老若男女が行き交い、スイーツやパンなどを次々に買い求めていた。

 「催事の中で一番人気があります。風物詩のようなものですね」。運営担当者はそう説明した。

 百貨店にとって「鉄板企画」ともいえる北海道物産展。ジェイアール京都伊勢丹も、20年以上前から年2、3回催している。

 催事は通常、開催の1年前に企画を決定し、半年前には関係者に出店を依頼している。北海道物産展も同様に準備を進め、後は開催日を待つばかりだった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変。ジェイアール京都伊勢丹そのものが4月12日―5月24日の43日間、臨時休業を余儀なくされ、北海道物産展も中止の可能性が浮上した。

 その後、感染者数が落ち着き、緊急事態宣言や、都道府県境をまたぐ移動の自粛要請が解除されたことから、「現地に行きづらい今だからこそ、近場でうれしさや楽しさを提供したい」(運営担当者)と考え、実施に踏み切った。

 会場では、感染防止策を随所に施し、安心・安全に買い物を楽しんでもらう環境づくりを心掛けている。来場者にはマスクの着用を義務づけ、各店舗にビニールカーテンを設置した。

 百貨店の催事というと縁日のような密状態を想像するが、通路幅を通常の1・2メートルから最大3・6メートルに広げ、客同士が余裕を持ってすれ違えるようにした。

 さらに、催事場の外に130平方メートルの販売スペースを新たに設け、会場全体を広げた上で、出展者数は従来の40数社から37社に減らした。イートインスペースはなくし、試食や試飲も行っていない。

 海鮮珍味を販売する「味の匠」(北海道北斗市)の新堀博一店長(42)は「全国の百貨店の北海道物産展がほとんど中止になって販売員も休みになりましたが、開催できて良かった。知っているお客様や新規のお客様が応援してくれてありがたいです」と喜ぶ。

 運営担当者は「客足は減っていますが、24―28日の5日間で予算比120%を売り上げました。お客様の期待に応えられているのではないかと思います」と手応えを語った。

 「夏のおいしい北海道展」は7月6日まで。午前10時―午後8時(最終日は午後6時まで)。

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