これは最強の備え!アマビエ×ヨゲンノトリのマッチが誕生!災害時でも「明かり」を…開発に込めた思い

広畑 千春 広畑 千春

 海を光り輝かせ豊作と疫病を予言した「アマビエ」。そして、コレラの流行を予言した「ヨゲンノトリ」。いずれも江戸時代の書物に書き残され、今このコロナ禍によみがえった、悪疫退散のシンボルたち。その2者の力を合わせ、自然災害にも備えてもらおうと、兵庫県の老舗マッチ業者が、アマビエ×ヨゲンノトリのマッチ&ローソクセットを発売しました。

 地震や水害などでは大規模な停電に見舞われることも。「もし真っ暗になっても『明かり』があれば安心できる。アマビエやヨゲンノトリとともに、コロナに振り回されている今だからこそ災害にも備えられたら」―。兵庫県姫路市で、1914(大正3)年の創業以来、マッチを作り続ける「田中マッチ」の田中憲司社長は、今回の企画に込めた思いをそう語ります。

 発端は、4月末、かつて防災関連で仕事をした地元出身の創作アーティスト、モリチエコさんから打診を受けたことでした。モリさんは1児を育てるシングルマザー。外出自粛で子どもと一緒に粘土細工をしていた時、ネットニュースで知ったヨゲンノトリのお守りを制作。お世話になった人や知人らに配ったところ話題になり、テレビでも紹介されました。

 ヨゲンノトリは、山梨県立博物館が所蔵する江戸時代の文献に描かれ、1つの胴体に白と黒の2つの頭を持つカラスのような不思議な鳥。モリさんは「見た途端に『かわいい!』と一目惚れしました。何百年も前の人の絵とは信じられないぐらいのゆるさで、タイムスリップしたかのようでした」と振り返り、そのレトロな雰囲気も「マッチにぴったりだと思った」と振り返ります。

 一方の田中社長も「この大変な時代に、自分たちでも何か役に立つことをしたい」と考えていたといい、同博物館などに版権に抵触しないか確認した上で300個を試作。通常の最少ロット数は2500個といい「かなり割高で苦しいが、利益なんて言っていられない。誰かを笑顔にできて、防災にも役立てば」とローソクやシールをセットにし、SNSで紹介したところ「売って欲しい」という声が相次ぎ、即完売したそうです。

 マッチは神戸港の発展とともに盛んに製造され、ライターの普及や喫煙者の減少、また広告マッチの衰退などで生産量が大幅に減少した今でも全国シェアは9割を占め、レトロ感やデザイン性、高い品質を前面に打ち出した新たな展開も始まっています。

 「阪神・淡路大震災のときはもちろん、東日本大震災の時には中学生の女の子から『ローソクの光で一家4、5人が過ごしました。明かりがいかにありがたいか分かりました』というメールも頂きました」と田中社長。「熊本地震でも、そのほかの災害でもそう。全く電気がなくても、このローソクなら1個で4時間持つ。マッチも保存状態が良ければ100年は持つので、これ1セットがあれば2晩、こまめに消せば3日は持つ」。「それに、可愛いパッケージなら玄関に飾っておけて、いざという時でもすぐ使えるでしょう?」とも。

 最近では、子どもだけでなく保護者世代でも、マッチのつけ方を知らない人が増えているといいます。コロナ禍で、また豪雨災害も心配な今だからこそ、コレクションしたくなるようなアマビエ×ヨゲンノトリマッチで、家族で練習してみませんか?

 アマビエ・ヨゲンノトリマッチセットは5個入り(ローソク5個、シール2シート付き)税込み1650円。

 神戸市中央区の「北野工房のまち」2階の店舗「マッチ棒」(運営・日本燐寸工業会)で販売するほか、オンラインショップhttps://matchbou.thebase.in/でも販売。

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