愛されすぎた結果、地域限定商品に? 東北・信越でしか買えない謎の焼そば「バゴォーン」

黒川 裕生 黒川 裕生

1947年6月24日にアメリカで初めてUFOが目撃されたことにちなんで「UFOの日」に制定されている6月24日、Twitterでなぜか、あるカップ焼そばのことが話題になった。マルちゃんの赤いきつねなどで知られる東洋水産が製造・販売している「焼そばBAGOOOON(バゴォーン)」である。…え、ご存知ない?ほら、あのわかめスープ付きのカップ焼そばですよ!まあ、かく言う私もよく知らないんですけど…。

「おっす、おら #UFOの日 があるなら #BAGOOOONの日 があってもよいと思ってる秋田県民」

発端となったのは、秋田発の地産地消ヒーロー「超神ネイガー」さん(@neiger_akita)のこんな投稿。超神ネイガーさんは続けて「実は幼いころから『焼そばバゴォーン(東北・信越地区限定商品)』で育ってきたために、スープが付属していないと『なにか物足りない』『ちょっぴり損した気がする』という東北・信越地区の民は同士だ。へばな」と綴り、地域外の人からは「バゴォーンってなんですか?」、地元の人たちからは「わかります」「箱買いしてます」などのリプライが多数寄せられた。中には「全国区じゃないなんて知らなかった」と驚く地元民もいたようだ。

謎のカップ焼そば「バゴォーン」とは何か

東洋水産によると、バゴォーンの誕生は1979年。当初は全国で販売されていたが、90年代以降は別ブランドのカップ焼そばを展開するようになった。ところが東北、信越地区ではバゴォーンの人気が根強かったため、そのまま販売が継続され、結果として現在では地域限定商品になっているという。

加えて、2012年までは青森県八戸市にある工場で製造されていたこともあり、同社の担当者は「“地元産”の商品として40年間大切にしてきたことで、東北の皆さまのソウルフードとして定着しているのではないかと考えています」。

気になる味だが、同社のサイトによると「ウスターと中濃を合わせたソースに、ザク切りキャベツとチキンダイス入りのソース焼そば」とのこと。そして大切なのは、説明文の末尾に添えられたこの一言だ。

「わかめスープ付」

同社によると、バゴォーンが人気を集めた最大の要因は、このスープにあるらしい。

「パッケージを黒に刷新した1981年に中華スープを付けたことが始まりです。84年からは、あっさりと飲みやすい味わいのわかめスープとなり、黒いパッケージとともに定着しました」と担当者。スープを付けた理由については、「『ソース焼そばを食べるときに何か飲み物が欲しい』というお客さまの声にお応えしたもので、温かいスープを付けることによって冬の需要拡大も狙いとしていました」と明かす。

「BAGOOOON」の意外(?)な由来

ちなみにバゴォーンという力強い商品名の由来だが、「当時アメリカンコミックでピストルの発射音として使われていた擬音です」とのこと。「メインターゲットの若年層に、『自分の夢や将来の目標に正確に照準を合わせて頑張って欲しい』という思いを込めたものです」。バゴォーン!そうだったのかバゴォーン!

現在の商品ラインナップはバゴォーン、塩バター風味、お好みソース味、激辛味の4種。これとは別に、随時新商品を発売している。東洋水産にとっても「東北、信越地区の皆さまに愛していただいている大切な商品のひとつ」であるバゴォーンだが、今のところ販売エリア拡大の予定はないそうだ。

同社は「このコロナ禍が落ち着いた後に、東北、信越地方へ足を運ばれた際や、偶然どこかで見かけてくださった際などに、ご賞味いただけますと幸いです。地域限定品ですので、お土産品としてもお勧めいたします」と呼び掛ける。

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