実は親も見られてる?体がグネグネ、すぐ横になりたがる…「子の姿勢の悪さ」の3つの要因と対処法

西村 猛 西村 猛

③   「低緊張」の場合、子どもを叱るのはNG→環境改善を

「低緊張」とは、筋肉の張りが弱い(低い)状態を指します。筋肉は、安静にしていても、ある程度の張りが維持されているのですが、「どの程度の張り状態でいるか」ということは、脳からの指令によって決まります。例えば、平均的な張り具合を「100」とすると、脳から「120」と指令が出ている人は、過緊張(筋肉の張りが強い)状態になります。「80」と脳から指令が出ている人は低緊張(筋肉の張りが弱い)状態になります。

 この張り状態は、無意識に脳がコントロールしているため、自分の気持ちや意志の強さなどは関係しません。その人の「個性」だと言えます。こういった理由から、低緊張タイプのお子さんの場合、筋力強化や習慣付けだけで姿勢の崩れを改善させることは難しいでしょう。

 そのため、対処方法としては、運動を取り組ませる以上に、椅子や生活の環境を変えてあげて、姿勢が崩れにくい環境を整えてあげることが大切です。

 具体的には、座面に滑り止めを敷いてあげることでお尻がズレないようにする、体に合った椅子を選ぶ(足を床についた状態で、足首・膝・股関節がそれぞれ直角になる位置になるのが理想的な椅子のサイズです)などの取り組みを行いましょう。

 なお環境設定の取り組みについては、どんなお子さん(上記の①②タイプのお子さん)にも効果的ですので、ぜひ参考にしてみてください。

 また、低緊張タイプのお子さんの中には、自閉症スペクトラムなどの発達障害を持つお子さんも一定数おられます。こういったお子さんの場合は、自分に対する自信のなさから、運動に対する苦手意識を持っている子が多くいます。

 そのため、「(苦手な)運動を頑張りなさい」と強制することは、さらに運動嫌いになるだけでなく、「自分にはできない」「自分はダメな人間なんだ」と今以上に自己肯定感を下げてしまうリスクがありますので、できることを認めつつ、スモールステップで取り組めるような声掛けや実践が大切になります。

◆まとめ

・子どもの姿勢が悪い要因は、大きく分けて3つあります。
①体幹筋の持久力の弱さによるもの
②習慣によるもの
③低緊張によるもの

・改善に向けての取り組み方法は次の通りです。
①昔ながらの外遊びや、遊具遊び、お手伝いなどの活動を通して体幹筋の持久力を高める
②良い姿勢を自然に見て学べるように、大人が見本を見せていく。書道や武道など、姿勢を正す習慣のある習い事をする。
③椅子に滑り止めを敷いたり、椅子の高さを体に合わせてあげるなど、環境設定を行う。

・低緊張のお子さんの中には、自閉症スペクトラムなど発達特性のあるお子さんもおられます。苦手意識のある運動を無理やり取り組ませることは、自己肯定感を下げる要因になってしまうため、スモールステップでの取り組みができるような配慮が必要となります。

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