「ボヤ騒ぎにしか見えない」とネット騒然のお弁当屋さん…通報された経験は?実は予約必至の人気店

広畑 千春 広畑 千春

 コンロから立ち上る赤い炎、尋常じゃない煙の量…「これヤバいんじゃ?」と思わず119番してしまいそうなお弁当屋さんが、SNS上で話題になっています。しかもこのお店、その外観の凄さだけでなく、コスパの高さで予約必至―という大人気のお店なのだそう。一体どんなお店なのか、というか通報されたことはないのか、聞いてみました。

 お店は、東京都江戸川区にある「鯖の助」。その名の通り、看板メニューは「さば弁当」(700円)。炭火で焼き上げた、身だけでも20㎝以上ある肉厚のサバの片身がどーんと入り、ボリューム満点です。さらに有名干物店「判助」(本社:福島県いわき市)のトロサバの開きを使った「特大さば開き」は弁当箱に入らずご飯などとは別々に渡すほどながら1130円と、儲けを度外視した驚きの価格。ホッケやシャケなど他の魚や、牛・豚・鶏肉なども人気といいます。

 そんな店のそばを今月7日、偶然通りかかったのは、食べ歩きが趣味というTwitterユーザーのあかるい弁当(@fine_bento)さん。「なんだこれは!と思ってすぐ写真に納めた」といい、吸い込まれるように注文した弁当とともにツイートしたところ、6.2万以上の「いいね」を集め、「おいおいマジか」「普通に火事やん」「これはうまいやつ!」との声に加え、店を知る人からは「近くを通ると魚のいい匂いが…」「人がめっちゃ並んでるお店」との情報が続々と寄せられました。

 そんな名物店を切り盛りするのは、川和秀動さん(54)。実は元ジェットスキーのライダーという根っからの「海の男」。その後、趣味の釣りが高じて釣り船屋を始めたものの、今度は釣ってもらうだけでなく、美味しい魚を食べてもらいたい…と9年ほど前から「鯖の助」を始めたそう。店の心は「飽食尽きて魚に還る」。「ありとあらゆる食べ物が食べられる時代だからこそ、人間が最初に食べた、原点に戻りたい。それが、『魚を炭火で焼いて食べる』ことだった」といいます。

 防災公園に隣接する店舗の立地を「一目で気に入った」といい、即金で契約し、オープンさせるや否やその香ばしい匂いと美味しさで、瞬く間に人気店に。値段も「美味しい魚をいっぱい食べてもらいたい」と消費増税後も以前のまま据え置いており、3台のコンロで休む間もなく焼き上げるものの、炭火のため時間がかかることもあり「時間内にさばききれないほど」。待たせるのは申し訳ないと予約を勧めていますが、それでも行列ができています。

 さらに、このコロナ禍の自粛期間中は注文が殺到。感染への不安もある中、パートさんとともに毎日店に立ち、煙まみれで帰ってくる秀道さんに、奥さんは「もう車の中も家の中も臭います!」と悲鳴。それでも「予備洗いに付け置き洗い、あれこれ駆使して洗ってます。魚の脂は意外とさらっとしているのか、肉だけより落ちやすいかもしれませんね」といい、「やっぱり、炭火が一番美味しいですから」と話します。

 実は、「時代に逆らってみようか」と店のホームページもブログもSNSも一切していないそうですが「ちょうど炎がMAXの時で、普段はここまでではないんですが…(笑)。お客さんを通じてこんなに広めて頂けるなんて本当に助かりましたし、やっぱり人の力はすごいんだと驚かされました」とも。

 あ、そうそう、肝心なことを忘れていました。これだけ毎日炎と煙が上がっていますが、「これまで通報されたことはありませんね(笑)」とのこと。店主や奥さんの人柄はもちろん、実際“現場”に近寄ったら最後、香ばしい匂いでお腹がそれどころじゃないからかもしれませんね!

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