NHK連続テレビ小説「エール」のモデルになっている作曲家古関裕而の妻・金子の出身地である愛知県豊橋市が、「エール」にあやかった地域活性化に取り組んでいる。5月には、地元企業であるポッカサッポロフード&ビバレッジ(名古屋市)の協力を得て、同社の自販機に豊橋が「『エール』のまち」であることをPRする広告を設置。コロナ禍で観光誘致は難しい状況だが、他にも特設サイトやSNSなどで豊橋の魅力発信に努めている。
豊橋市は人口約38万人。西は三河湾、南は太平洋に面しており、豊かな自然と温暖な気候に恵まれている。2016(平成28)年から古関裕而の出身地である福島市とともに、NHKに対して古関夫妻を題材にした朝ドラの誘致活動を展開してきたという。
自販機や特設サイトでPR
豊橋市内を中心に約1000台、また名古屋中心部にも約100台設置されているポッカサッポロの自販機には、「エール」のオープニングにも登場する伊古部海岸を大々的にフィーチャーしたポスターを掲出。「この感動を知らないのは、もったいない!」と力強く謳っている。
さらに特設サイトでは、金子が豊橋にいた頃の面影を伝えるお勧めスポットや、豊橋発祥とされる天筒花火、豊橋のグルメなど地域の魅力を紹介。豊橋在住の漫画家佐野妙さんによる金子の人となりを伝える漫画も掲載している。
コロナ禍で観光誘致が困難に…
「エール」放送に当たり、同市では地元商工会議所、観光コンベンション協会、メディアなども一緒になって「『エール』で豊橋を盛り上げる会」を結成。ドラマと地域の盛り上げに力を入れてきたが、コロナ禍によって観光だけでなくドラマ自体も収録が休止を余儀なくされるなど、不測の事態に見舞われている。
それでも同会事務局のある市シティプロモーション課の課長補佐、村山大介さんは「ドラマ序盤では豊橋がフィーチャーされる場面もあり、ロケ地としても多くの人に認知していただけた。放送休止期間中は第1回から再放送されると決まったので、あらためて豊橋が注目されるチャンスかもしれない」と話す。
「明るくて前向きな金子さんをモデルにした女性を、ドラマでは二階堂ふみさんが生き生きと演じてくださっている。地元として、今後の展開を楽しみに待ちたいと思います」