コロナ用語の「次亜塩素酸」オノマトペでは分からない漢字の素晴らしさ 京大教授が語る

京大・安部教授/科学よもやま話

安部 武志 安部 武志
「次亜塩素酸」という言葉は漢字でこそ伝わると、安部教授は話す(kei u/stock.adobe.com)
「次亜塩素酸」という言葉は漢字でこそ伝わると、安部教授は話す(kei u/stock.adobe.com)

 もふもふは正義。これでニヤっとした人はラノベの異世界もの読み過ぎです。日本語が乱れてますね。という話をしたい訳ではなく、この“もふもふ”のような擬態語を「オノマトペ」というらしい。先日、テレビで聞いて、初めて知ったわと、奥さんに伝えたら呆れられました。常識らしいです。

 国語の授業で出てたらしい。いや、この51年聞いたことがないからね。調べました。英語の擬音語を意味する「onomatopoeia」が由来で、これをカタカナにしたようです。擬音語、擬態語でいいやんと思うのは僕だけでしょうか。やはり、漢字を当ててもらわないとピンと来ないし、頭に入ってこないですね。

 ようやくコロナの収束が見えてきましたが、まだまだ予断を許さない感じです。コロナの殺菌には次亜塩素酸が効くというニュースがありました。次亜塩素酸は酸化力が大きいので、コロナに効くかどうかはよく分かりませんが、殺菌能力は高いです。

 さて、次亜塩素酸とありますが、『次』、『亜』が気にならないでしょうか?この漢字を当てた人は素晴らしいですよ。『亜』も『次』、つまり2番目という意味があるので、次亜は、次の次になりますね。

 塩酸、硫酸は聞いたことがあると思いますが、塩素酸という『酸』があります。これは、「塩素」と「酸素」と「水素」から出来ているもので、塩素一つに対して酸素が三つ結合しています。これに水素で、HClO3という化学式になるのですが、これはおいといて。この塩素酸から一つ「酸素」を増やすと、過塩素酸、一つ減らすと、亜塩素酸、もう一つ減らして、次亜塩素酸です。

 なので、次亜塩素酸は塩素と酸素と水素が一つずつから出来ているものなんですね。ここから酸素を取ると、塩酸になります。これですよ。この漢字の素晴らしさ。漢字を見るだけで、なんとなくどのような物質から出来ているか分かりますよね。オノマトペでは分からないんです。

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