モデルのダレノガレ明美が薬物使用疑惑を連想させる記事を掲載したニュースサイト「AERA dot.」に「虚偽」と警告し、同サイトが「事実確認が不十分だった」として謝罪記事を掲載したことについて、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は15日、当サイトの取材に対し、「今後、薬物疑惑を報じられた著名人は自ら身の潔白を証明する行動に出る風潮に変わっていくのではないか」と指摘した。
問題となったのは、同サイトが5日に「マトリが次に狙うセレブタレント」と題して掲載した記事で、名前は書いていなかったものの、ダレノガレは自身を連想させるとして警告書を所属事務所から送付。同サイトは14日に「関係者に対する十分な取材や事実確認ができておらず、ご批判を真摯に受け止め、記事を取り消し、深くおわび申し上げます」という謝罪文を掲載し、記事も削除された。これに対し、ダレノガレはツイッターを更新して「正直納得できないです」と収まらない怒りをつづった。
小川氏は「報道後にネットで噂が広がったことで、ダレノガレさんは毛髪検査を受けて、身の潔白を自ら晴らした。これまでも、数々のメディアで著名人の薬物疑惑が報じられ、中にはその後で逮捕されたミュージシャンやアスリートもいて、記事が事実だったと証明されたケースもありましたが、その一方、実名は出ないものの『この人じゃないか?』という憶測が流れ、結局はシロともクロともつかないまま疑惑だけが残った著名人もいた。そういう人たちは報道に対しても黙っていて、警察の捜査に任せていたが、今回、ダレノガレさんが取った行動により、今後、疑惑が報じられた著名人は自ら潔白を証明する流れになっていくかもしれません」と推測した。
過去、薬物疑惑を示唆する報道が出ながら、逮捕には至らなかった著名人には「もともと、やっていなかった人」と「やっていたが、報道を機に薬物をやめて証拠も消し、そのまま逮捕を免れた人」の2パターンがあるという。小川氏は「今回のように、前者は自ら証明できるが、後者はそれもできない。そうなると、すぐ自ら証明しない人は『本当にやっているのではないか』と疑われる可能性が出てくる。その点において、私は『怖いな』と懸念する部分もあります」と思いを語った。
一方、報道する側について、小川氏は「例えば『大物芸能人を内偵している』という記事を出す際、名前は伏せても、年齢や出演ドラマなど特定できる内容は甘い取材では書けない。それは以前からそうなのだが、今まで以上に必要になってくる。謝罪だけでは済まず、『著しく信頼が落ちた』と損害賠償を求めて民事訴訟になることもある。メディアもしっかりした報道姿勢が求められる」と提言した。