精神修行みたいな神経衰弱ゲームをつくってみたという投稿がTwitterで話題になっています。「明朝体神経衰弱」といって、 さまざまな種類の明朝体フォントでつくられた「明」という文字の「日」「月」の正しい組み合わせるというものですが…。一般人にはどの文字も同じようにしか見えません! マニアックかつ超高度な内容に「これは無理」「気が狂いそう」と、みなさん心をすり減らしてしまっています。
投稿したのは、書道家の「もにゃゐずみ」(@Monyaizumi)さんです。5月10日にゲームの画像とともにもにゃゐずみさんのサブアカウントでつぶやき、16日夕刻までに10.6万件ものいいねがついています。
3Dプリンターで作成したというこのゲーム。「日」「月」の組み合わせが用意されたのは、20種類の明朝体フォントです。「MS明朝」「HGS明朝E」「小塚明朝 Pr6N」「IPA明朝」といった、どこかで聞いたことがありそうなものから、「凸版文久見出し明朝Std EB」「DNP秀英四号太かなStd Hv」「A-OTF 見出ミン MA31 Pr6N MA31」という、知る人以外にとっては「宇宙の暗号」と化しているようなものまで…。しかし、フォントの名前はこんなにバラエティ豊かなのにもかかわらず、肝心の見た目といえば…どれも同じような「明」という文字ばかりで…。
リプライ欄には、ゲームのイメージを見て衝撃を受けた人たちの思いが続々と寄せられています。「モールス信号覚えてる時こんな感じだった」とゲームにインスパイアされて過去の記憶を明かす人や、「同じ月日は一つとして無い」と心象風景的なコメントをつぶやく人も出現。「我が推し明朝である『源』一族が三種も!」「『 HGS明朝E』と『 HG明朝E』って、余白はともかく字のフォルムは同じじゃないの?」と、フォント愛好家からマニアックな指摘もありました。
「もにゃゐずみ」さんにお話を聞きました。
―どうしてこんなゲームをつくろうと思われたのですか?
「フォントのあの絶妙な『ちょっとした違い』をゲームにできたらおもしろそうという単純な思いつきからです」
―ちょっとした違い…ですか?
「最初は、あらかじめ用意されている枠にはめるだけのシンプルなパズルゲームを考えていたんですが、もう少しひねりが欲しいと、明朝体の「明」の「日」と「月」の組み合わせを当てる神経衰弱的なゲームの発想に至りました。ゴシック体よりも明朝体の方がずっと眺めてると神経が衰弱しやすいかもな、とも思いました(笑)」
―確かに明朝体って何か神経質っぽそうですもんね。ちなみに、見分け方のコツはありますか。
「各線の太さ、細さ、間隔、跳ねの形、角の丸み具合などに着目するといいです」
―えっ…といわれても…。
「まあキツいです」
―…ですよねー! もにゃゐずみさんご自身は、この神経衰弱を解くことができますか。
「一度だけ、構想を練る段階で7ペア+答え合わせ用の型を用意してやってみたんですが、何回かミスしつつクリアできました。この数でも割とキツかったので、20ペアは未知の領域です」
―ちなみに、もにゃゐずみさんが一番好きなフォントはどれですか。
「小塚明朝です。縦画と横画の太さの比が程よく、インパクトもありかつ形も整っていて品のある印象を受けるので」
―なるほど…私もいつか推しフォントが持てるように頑張ります!?
◇ ◇
こちらのゲーム、もにゃゐずみんさんによると商品化できないかとのお話もあるようで、現在検討を進めているといいます。「各フォントのライセンスを確認しているほか、正誤判定などのゲーム性にも配慮して、全体をブラッシュアップ中です」とのこと。答え合わせについても、それぞれの文字がぴったりあてはまる型を用意する予定だそうですよ。
もにゃゐずみさんはこれまでも、タピオカを表現した創作漢字や、表計算ソフトのフリーズ画面をモチーフにしたクリアファイルなどをつくって話題になっています。文字に関連して、こんな作品も発表されていますよ!
■もにゃゐずみさんの「【創ったモノ】有象無象【Portfolio】」 https://twitter.com/i/events/1206906332810399745