大阪市の通天閣が、4月27日からブルーにライトアップされた。新型コロナウイルスと戦う医療従事者への感謝の気持ちを表すためで、日没から午後11時まで大阪の街を青く照らしている。緊急事態宣言を受け展望台を閉鎖しているが、賞味期限が迫ったお土産セットの通販が人気を集めているという。大阪のシンボルタワー内部に潜入した。
通天閣が“土産物のアマゾン”と化していた。例年なら1日5000人以上が展望台を訪れるゴールデンウイークだが、観光客はひとりもいない。タワーの2階は、通販用のお土産セットを作る物流センター化。発送を待つダンボールが、所狭しと置かれていた。
取引先や菓子の卸売業者などから持ち込まれたお土産が、山のように積まれていた。社員がひとりひとりカートを引きながら、通販用の福袋を作っていた。お土産18点前後が入った通常価格1万円相当のセットが、半額の5000円(送料1000円)。賞味期限が迫っていたり、観光施設の閉園などで売れ残った商品が福袋に詰まっている。
ゴールデンウイークを見込んで、大量に作られたお土産。「○○ランド」「××の恋人」…施設や地名がパッケージに躍る土産物は、観光地の営業休止や帰省の自粛で売り場をなくしてしまった。通天閣地下の「わくわくランド」では、それらの商品が30~50%引で販売されている。
通天閣を運営する通天閣観光の高井隆光社長(45)によると「賞味期限間近お土産5000円福袋」は、連日完売。これまで約2000セットを売った。「通天閣を支えてくれる取引業者を、少しでも支援したかった。土産物を半額で売っても誰も喜ばないし、ビジネスにしたいわけではない。商品がなくなることを、一日早く望んでいる」とおとこ気を見せた。
高井社長との思いとは裏腹に、夏休みシーズンやお盆の時期を見込んでつくられたお土産も、徐々に持ち込まれてきているという。「観光業者は夏をあきらめ始めている。会社の運転資金確保などで、現金化のため在庫が次々と持ち込まれている状態」と話す。
コロナ禍の早期収束を願い、通天閣の展望台に鎮座する幸運の神様・ビリケンさんにも手を合わす。「医療従事者にも感謝の気持ちを伝えていきたい。通天閣の復活は街の復活。ランドマークとして、輝き続けてエールを送らないといけない。へこたれている場合ではない」と、高井社長は静かな新世界に目をやった。