新型コロナ陽性で、友人がホテルに隔離…そのとき「できること」と「絶対にしてはいけないこと」

渡辺 陽 渡辺 陽

近畿圏での新型コロナウイルス感染者が2千人を超えましたが、軽症、無症状の患者が全体の9割以上をしめることから、全員の入院が困難となりました。ホテルや自宅での宿泊療養とはどんな生活なのか、周囲の人にできること、絶対にしてはいけないことについてお話しします。

軽症、無症状の場合は自宅かホテルで宿泊療養

大阪では、4月14日から、新型コロナウイルス陽性の人のうち、軽症もしくは無症状の人を入院先からホテルへ移送、宿泊療養が始まりました。

大阪府の陽性者累計は1211人、うち入院、入院調整中の人は962人、重症者は65人なので、軽症、無症状の患者は9割以上を占めることになります(4月19日現在)。ただ、軽症といっても、人工呼吸器やECMO(エクモ)、酸素療法を必要としていないというだけであって、決して「楽」なわけではありません。

重症、軽症の区別は、発熱、呼吸器症状、呼吸数、胸部レントゲン、酸素飽和度 などの症状や診察、検査結果を踏まえ、医師が総合的に判断します。

受け入れをしているホテルは、大阪アカデミア、アパホテル大阪肥後橋駅前、スーパーホテル大阪天然温泉(4月20日現在)で、1565室が稼働可能な状態にあります。

移動や食事、掃除はどうなるの?買い物はできるの?

ホテルでの療養生活は14日間とされていますが、健康状態が総合的に改善されるまで解除されません。

まず、新型コロナウイルス陽性が判明した場合、公共交通機関を利用できなくなるので、自家用車での往来が困難な場合は、府が契約しているタクシーが病院やホテルへの移送をしてくれます。

ホテルには、看護師2名が常駐、日中は医師が常駐しています。夜間、急変などがあれば、医師が来てくれる仕組みになっています。看護師がいるといっても、基本的に直接対面してやり取りすることはなく、電話で体温の確認などが行われます。

施設からの外出は厳禁。禁酒、禁煙。Wi-fi設備が部屋にある場合は利用できますが、ネットショッピングは利用できないそうです。2週間分のリネンは用意されていますが、衣類や下着類は自分で洗い、そうじも自分で行います。

必要な物品は持参しなければならないので、事前に用意しておくといいでしょう。

<安静・療養にあたって必要なもの>
・衣類(寝巻、部屋着、下着類、防寒具など)
・タオル類(フェイスタオル、バスタオル)
・洗濯用洗剤
・常用薬、頓服薬、おくすり手帳
・おはし、コップ、スプーン
・洗面用具(シャンプー、リンス、ボディソープ、歯ブラシ、歯磨き粉、洗顔せっけんなど)
・携帯電話、充電器
・本、ゲーム機、DVD再生機など、気分転換に使用するもの
・運転免許証など身分証明書
・健康保険証
・体温計
・生理用品
・嗜好品(コーヒー、紅茶など)
・現金(両替はできません。小銭は多めに用意しましょう)

友達や家族に何ができるのか、してはいけないこととは

娯楽用の物品も持ち込めるものの、完全に家族や友人と隔離され、症状が悪化しなければ医師や看護師と対面することもない療養生活。対症療法しかないため、高熱にうなされ、咳き込む毎日は、精神的にもかなり厳しくなると思われます。

ストレスによるこころの不調についての相談は、「こころのホットライン」(06-6697-0877、利用時間9:00~17:00)を利用できます。

ひとりで孤独や新型コロナに向き合う覚悟はしておいたほうがいいでしょう。

ただ、友達や家族、知り合いがコロナにかかってしまった場合、私たちはまったく無力なのでしょうか。会えないと何もできないのでしょうか。そんなことはありません。大阪府では、療養先のホテルで、差し入れは受け付けてくれます。食べ物や気の休まるような漫画や雑誌、本などを差し入れてはいかがでしょうか。自宅療養の場合も同様です。

ただ、どんなに心配でも絶対にやってはならないことがあります。大阪の太融寺町谷口医院の谷口恭医師によると、自宅療養の場合も「決して会ってはいけない」そうです。どんなに顔を見たくても、荷物は玄関ドアの前に置いて帰らなければなりません。

たとえ会えなくても、「心配してくれている人がいる」「わざわざ来てくれた」、そう思えるだけでも人は救われるのではないでしょうか。

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