古着のフリースで縫わずにマスク…末期ガンで在宅介護の母の訪問看護も危機、提案した女性の切実な思い

広畑 千春 広畑 千春

 新型コロナウイルスの感染拡大で店頭からマスクが消え、手作りマスク需要の高まりとともに手芸用品店等ではガーゼやゴムなどの材料も品薄状態になる店舗も出ている中、大阪に住むストローアート作家の当銀美奈子さんが、古着を再利用し、縫わずに誰でも簡単に作れるマスクを提案しています。

 当銀さんは、ストローでエビや恐竜を作るストローアートの第一人者。NHKEテレのプチプチ・アニメで放映された「ストローびゅるる」のキャラクター制作を手がけるなど、その作品は国内外で広く人気を集めています。

 現在は自宅で、91歳の母の介護をしていますが、母は末期ガンで寝たきり。24時間の点滴が必要で、毎日訪問してくれる訪問看護の看護師と、隔週の医師の往診に支えられてきたといいます。

 ですが、コロナの感染拡大でマスクなどの需要が急増する中、看護師もマスクだけでなく消毒薬も節約し、使い捨てエプロンの調達にも苦労するように。さらに、今月に入って病院関係者の感染が確認され、その余波を受けて「今後の訪問もどうなるか分からない」と告げられたといいます。

 「母はもう91歳。もし医療現場がひっ迫するなら、若い方を助けて欲しいと思っています」としつつ、「自分ができることを…と考えたら、マスクの手作りで、せめて医療にその資源が回ればと思った」と当銀さん。

 ネックウオーマーや、バンダナを折りたたんで両端にゴムを通しただけのマスクや、古着のフリースの袖部分を切って折り込み、ゴムを通したマスクの作り方をブログで紹介しています。

 当銀さん自身、花粉症も酷く、「布マスクの中に、使い回しているサージカルマスクやキッチンペーパーをはさんでくるめば花粉症の症状も和らぎます。汚れたら、布マスクを洗うだけで何度でも使える。ゴムひもも今は足りないので、昔のサージカルマスクのゴム部分だけを取って使っています」とし、「身近にあるもの、たとえ捨ててしまうようなものでも、工夫すれば十分役に立つんですよ」とほほ笑みます。

 元をたどれば、ストローアートも身の回りにあるものを使ったアート。根っこは同じなのかもしれません。

 マスクの作り方を紹介した当銀さんのブログはこちら。

フリースを使ったマスク→https://kitchenplasticarts.blogspot.com/2020/04/mask-can-make-from-old-fleece-wear.html

ネックウオーマーを使ったマスク→https://kitchenplasticarts.blogspot.com/2020/03/can-make-in-one-minute-mask-1.html

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