短期間の預かりでもOK
長い間共に生活をしてきた猫の死はとてもつらいもの。新たな猫を家族に迎えようと思っても、亡くなった愛猫を裏切るような気持ちになったり、再び猫を失うつらさを経験したくないなどの思いから、一歩踏み出せない人は少なくない。しかし、猫が好きであればあるほど、あたたかな猫のぬくもりに触れたくなるもの。そんな人に、一つの選択肢に入れてほしいのが、猫の預かりボランティアだ。
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預かりボランティアとは、愛護団体が保護した動物を一般家庭で一時的に預かるスタッフのこと。里親が見つかるまで預かるケースが多いが、「2週間だけ」「1年だけ」など、期間限定での預かりに対応している団体も多い。愛媛県四国中央市の愛護団体「チームすず猫」代表の町田さんは「子猫で人慣れしている猫なら短期間でも預かりをお願いすることがあります」と話す。
成猫は環境がコロコロ変わると強いストレスを感じやすいので、長期で飼育してくれる人が望ましく、また、先住猫がいる場合などは、成猫同士だとなわばり意識が働くのか、部屋を分けていても鳴き声だけで互いにストレスを感じてマーキング行動が始まったりすることも珍しくない。そのため、預かりボランティアには基本的に、子猫をお願いすることが多いという。
かわいらしい子猫のお世話をすることで、愛護団体をサポートすることにもつながる預かりボランティア。新しい猫を迎え入れるのには抵抗があるが、猫と触れ合いたいという気持ちがある猫好きさんにはぴったりの「猫助け」だ。
預かりボランティアになる条件
では、預かりボランティアになりたい場合にはどうすればいいのか。
まずは自宅近くの愛護団体等を検索し、問い合わせてみるのが一番だろう。預かりボランティアになれる条件は団体によって異なるが、確認事項は主に、住所、氏名、連絡先のほか、「ペット可の住宅か」「完全室内飼いの約束」「猫の飼育経験の有無」「家族の同意」「先住猫の完全室内飼い」の5つ。「猫の飼育経験の有無」に関しては、「猫が好きで預かりに対して意欲的な方であれば、手のかからない猫を預けるケースもある」と町田さん。また、預かった猫を、その愛護団体が開催する譲渡会会場に送り迎えするのも、基本的には預かりボランティアの役割だと考えておいたほうがいいだろう。
その他、団体によって異なる確認事項に「フード・猫砂代の負担」「予防接種を含む医療費の負担」「先住猫の予防接種」などがある。
フードや猫砂といった消耗品の代金については、預かりボランティアが負担するのか、折半するのか、団体側が負担するのかなど、ケースバイケース。予防接種を含む医療費については団体側が負担してくれるケースが多いが、そうではない場合もある。先住猫の予防接種の有無は、それ自体を確認しない団体もあれば、証明書の提示を求める団体もある。後にトラブルにならないためにも、こうした条件は事前に確認しておくのがベターだ。
また、預かりボランティア希望者に対して、多くの団体で実施しているのが飼育の環境確認。脱走防止対策がなされているか、衛生面は大丈夫か、飼育できるスペースはあるかなどを、実際に団体スタッフが現地訪問して確認する。「信用できないのか、と思われるかもしれませんが、里親詐欺のような悲しいことにならないよう、環境確認は必ず行っています。ご自宅に直接伺うことで、身元確認にもつながりますから」(町田さん)。
ほかにも、子猫の場合は、飼育に充てられる時間を確認するところも。より小さな子猫ほど、怪我や誤飲を防ぐためにも見守れる時間を多く取れる人が望ましいため、在宅で働く人や、定年退職後の若いシニア層が適任とされる。