新型コロナウイルスの拡大が止まりません。26日には阪神の藤浪晋太郎投手(25)がワインやコーヒーのにおいを感じない「嗅覚(きゅうかく)」異常を訴え、PCR検査で陽性反応が出たことがわかりました。藤浪投手との食事会に同席していた伊藤隼太外野手(30)、長坂拳弥捕手(25)の2選手も「味覚障害」に似た症状を訴え、検査で陽性反応が出ました。嗅覚や味覚にも異常をもたらす新コロナウイルス。医療関係者としても早く終息してほしいものです。
嗅覚と味覚ですが、舌にある食べ物の味を感じる「味蕾(みらい)」は味を識別し、鼻の嗅神経は匂いをかぎ分けています。ともに脳へ情報を伝達し、脳が情報を合わせて「風味」として認識しています。
嗅覚障害の原因で多いのは
ところで、嗅覚障害の原因の多くは慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と風邪のウィルスで、他に薬剤や外傷などがあげられます。匂いがないと飲食の楽しみが失われるだけでなく、腐った食物の判別ができず、ガスもれなどもわからなくなり、健康や命などにも影響を及ぼす危険性があります。
嗅覚障害の治療は、副腎皮質ホルモンの点鼻や内服が中心です。しかし、今回の藤浪投手のように、もしかして、新コロナウイルスが原因の場合もあります。においに異常を感じたら、なるべく早く診断を受け、早期に治療を始めることです。
味覚障害で多いのは味蕾の異常
味覚障害は味の伝達課程で異常があると起こります。多いのは、味蕾の異常。味覚は甘味・塩味・酸味・苦味の4つの味から成り立っています。それらの味を感じるのが、舌にある味蕾なのです。舌の表面には数千個の味蕾がありますが、年齢とともに少なくなり、高齢者になると最も多かった時期と比べて1/2から1/3にまで減少してしまいます。
味覚障害の原因はいろいろです。他の疾患などで起きることもあれば、降圧剤や利尿薬など薬剤が原因だったり、加齢による体の機能の低下からきたり、ストレスなど精神的なものが引き金だったりもします。中には、偏食や無理なダイエットによって起こされていたりもします。
意外に多いのが亜鉛不足による味覚障害です。亜鉛の摂取量の目安は、成人男性で10mg、成人女性で8mg程度。若い女性を中心に慢性的な亜鉛不足に陥っています。
亜鉛不足が原因なら、亜鉛を多く含む食品(牡蠣や豚レバーなど)を食べるようにしたいものです。亜鉛を効率よく摂るには、クエン酸やビタミンC などの食材と一緒に食べるといいでしょう。