甲子園球場がコロナ対策の”新兵器”を大量導入 プロ野球開幕目指して総額300万円以上を投入

山本智行

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 来るべきプロ野球の開幕に向け、阪神タイガースが新型コロナウイルス感染予防の新兵器「エアバスター」を本拠地・甲子園球場に導入した。この14日に設置したのは一、三塁側ベンチ裏、ロッカールームや食堂、球団事務所などに17台。予定されていたセンバツが中止になり、開幕延期となったプロ野球も再開が見通せない状況だが、球場側はさらに導入台数を増やし、環境を整えていく。

 選手を守り、球場に歓声がこだまするためなら何でもする。その日に備え、甲子園球場が積極的に動いた。世界的に猛威をふるう新型コロナウイルス対策として、阪神は沖縄・宜野座のキャンプ地でも導入した三友商事株式会社(大阪市)のオゾン脱臭機「エアバスター」を17台設置した。

 設置場所は選手同士の“濃厚接触”が心配されるロッカールームや食堂、ベンチ裏など。1台19万2000円だから総額300万円以上を投入することになるが、感染を予防できると思えば安いものだろう。

 オゾンにはウイルスなどを除菌、分解する働きがあり、エアバスターはそんなオゾンの力を利用した脱臭機で除菌効果も期待できる。単なる空気清浄器とは違い、ドアノブや照明スイッチに付着したものも分解できる強みがある。

 三友商事の担当者は「オゾンは分解力が強いので感染のリスクを抑えることができる。1台でたたみ50畳分をカバーできます」と言う。除菌の仕組みは機械の本体で電気分解してオゾンをつくり出し、分解後オゾンが酸素に戻る性質を利用したもので薬剤に頼らなくていいとことから安全性が高いとされる。

 しかも小型で軽量。これまで飲食店、フィットネスクラブ、老人福祉施設、医療機関、学校などでも重宝されてきた。救急車にも搭載されており、新型コロナウイルスでいえば、中国・武漢からチャーター機で帰国した体調の悪い人を救急搬送した際にも使用されたという。

 阪神では沖縄でのキャンプでもロッカーなどにエアバスターを初めて設置。一定の成果を上げたことで、甲子園でも導入することになった。

 担当者は今回の設置に「甲子園球場と阪神タイガースは、プロ選手や高校球児のためにプレーに集中できる環境をつくろうと高い意識を持たれており、今回のエアバスターの大量導入につながりました」と話す。

 残念ながら、センバツ高校野球は中止になり、プロ野球の開幕も延期になったものの、球場側はさらにエアバスターの導入台数を増やし、万全の状態でシーズンを迎える準備を進めている。担当は「われわれ三友商事は甲子園球場、阪神タイガース、高野連の考えに心から賛同し、社を挙げてバックアップさせていただきます」と話している。

 こんな寂しい春はもうごめん。球音が響き渡る日を心待ちしたい。

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