「帷子」…この名字、読めますか? 古い書物にはよく出てくる古語が由来、地名としては各地にあります

日本の難読名字

森岡 浩 森岡 浩

「帷子」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩が日本人の難読名字を紹介します。

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漢字と読みが全く対応していないため、知らないと絶対に読めないが、簡単に読めてしまう人も意外と多いという難読名字。

現在は岩手県に集中している名字で、そのルーツは陸奥国岩手郡帷子村(岩手県岩手郡西根町帷子)。地名があることからその地域の人にとっては当然の読み方だ。さらに、帷子という地名は、横浜市の帷子川や、京都太秦の帷子ヶ辻など各地に点々とあることから、見たことがある人も多いかもしれない。

こんな難読地名がなぜ各地にあるのかというと、古語に帷子という言葉があるからだ。古くは「日本書紀」に登場するほか、「枕草子」「源氏物語」「平家物語」「徒然草」など多くの書物に出てくるため、古典に親しんでいる人にも見慣れた読み方であることが多い。

帷子とは、裏をつけない布製の衣類の総称で、夏は直衣(のうし)の下に着た。つまり、裏のついた袷から裏をとった「かたひら」が語源とされる。名字は中世に生まれたものが多く、当時の言葉に由来する難読名字は多い。

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