「子どもが半自動で手洗いする」新型コロナで専用スタンプが大注目…出荷量10倍で増産中

広畑 千春 広畑 千春

 感染拡大が続く新型コロナウイルス。でもどこに行ってもマスクがない。じゃあ消毒をと思っても消毒液もウェットティッシュも棚は空っぽ。店員さんも疲れ果てた表情…。こうなったら今できることは、手洗いしかない!!という中、ハンコで有名なあの企業が作る目からウロコの商品が大注目を浴びています。

 その商品とは、シヤチハタ(本社:名古屋市)の「おててポン」。2016年11月に発売して以来、SNSやテレビでたびたび話題になってきました。洗う前にポンと押し、30秒間石けんで手洗いをすれば消える仕組み。今回の事態にも「ハンコを押すと子どもが半自動で手洗いします」「自ら手を汚していくという逆転の発想」「これはデジタル化できない…」などと話題を集め、シヤチハタ公式もPRしています。

 シヤチハタといえば、昨年の痴漢防止スタンプなど、ハンコの枠を超えた斬新な商品を次々と発表して話題ですが、広報担当者によると「おててポン」は名古屋芸術大との産学連携で開発された商品といいます。「紙に押す以外の新しいスタンプの用途を…という課題を出させて頂き、学生ならではの斬新な発想がたくさん寄せられました。その中から私共の技術で商品の形にできるもの―ということで生まれたのがこの商品です」と担当者。

 ユニセフなどによると手に着いたウイルスなどを洗い流すには、石けんなどを使い、爪や指の間、手首も含め20~30秒以上洗う「正しい手洗い」が有効とされています。一方、消費者庁の2015年の調査では、最も多かったのが5~10秒(39.7%)だったのを始め、15秒未満が全体の74.3%を占めていました。

 「手洗いで消えるスタンプは、こうした問題を解決できるんじゃないか、というのが始まりです。大人でも30秒ってなかなか大変ですし、時間を計るのも難しい。でも、スタンプが消えるまでなら分かりやすい、と。食用色素を使ったインキを新たに開発し、試行錯誤を繰り返して完成に至りました」と担当者。今回も「マスクがなくなり、マスクもなくなり、最後は手洗いしかない―となって、反響は大きいです」といい、「通常ならインフルエンザの流行が収束するこの時期には減っていくのですが、今年は文具店や量販店からの注文が殺到し、昨年同時期の10倍の出荷量に。今も増産しています」といいます。

 思わぬ特需ですが「やっぱりこの状況ですから、喜べませんね…。早く収束してほしいです」と声を落としつつ、「きちんと手を洗う習慣を作るお役に立てているなら、それはうれしいです。私も気を付けます」と話してくれました。

 スタンプを押せば、モンスターたちが叱らなくても「半自動」で30秒、しかも洗いたくてたまらなくなるとは…。この記事を書き終わったら、とりあえず買いに行こう!と心に決めました。買い占められてないといいなあ。

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