最近の自粛ムードですっかり影をヒソめた“宴会”ですが、若い世代は仕事関係での宴会の「取りあえずビールはダメ」だそう。自分の意志・個性を大事にする若者たちは自分の好きな物を飲ませてほしいというわけです。でも、その「取りあえずビールはダメ」に「待った!」をかけさせてください。
個人的な集まりならいざしらず、仕事上の宴会において、乾杯で頼むのはせいぜい2種類だと思います。アルコールのビールとソフトドリンクのウーロン茶。なぜなら一人ひとりが別のドリンクを注文していたら、そろうまで時間がかかる。会社の宴会は迅速に「乾杯の器」を持つことがまず先決。その1杯目に「○○生搾りの△△チューハイ」といったややこしいのは“取りあえず”じゃない。「取りあえずビール」の意味は迅速に皆でそろって杯をあけることにあるんです。
もちろん私的な集まりは別。好きな物を好きなように頼んで楽しめば良い場所と時間ですから。だけど会社の宴会は仕事の一環と言えます。たとえ私に気を遣わず「お先に乾杯をどうぞ」と伝えても、相手も大人だから「いいよ、待つから」ということになる。1杯目は“スムーズ”が必要なんだからお好きなドリンクは2杯目以降ではダメなのでしょうか。
そういう私も、実はビールはあまり好きじゃないんです。だけど1杯目は乾杯のためにビールを頼みます。可能ならばそのときは小さいサイズか少なめで。例えば私が主催する会なら、1杯目は生じゃなくて瓶ビールを用意するようにしています。それなら量も調整できますから。
若い世代は「おじさん社会」を全否定して、「なんで飲みたくない物飲まなきゃいけないの?」って。だけどおじさんだって、全員がビールを好きなわけじゃない。でも自分を制し大多数に合わせることも大人の文化の一つなんです。
いまの20代は、自分を主張するように教育され、嫌なことは嫌とハッキリ言う人が増えています。「我慢が美徳」じゃないけれど、でも権利を主張することだけがいいことなのかしらとも思うのです。会社の宴会は仕事の延長上にある空間、時間の共有なんです。その共有には協力することも大切ではないでしょうか。
新型コロナの影響で、先日私が出演する番組も、無観客収録となりました。収録時にスタッフがちょっとした会話に反応してすごく笑ってくれて。あとで聞くと、私たちが気持ちよく仕事できるようにと、テンション高めで笑う練習をしてから収録に挑んでくれたそう。笑うに笑えない笑い話で、「そんなことしなくていいよ」と言ったんだけど、やっぱりその気持ちがうれしいじゃないですか。「まずはビール」じゃないけど、どうすればその場が気持ちよくスムーズに進むか…心遣いって大切だと感じました。