新型コロナウイルスの影響で、卒業式などの春のイベント自粛が続いていますが、その影響で贈答や装飾用の花の需要も減少。大量に作られた花々が行き場所を失って、余ってしまうのではないかと懸念されています。そんな状況を救うため始まったプロジェクトが、SNSなどで広く共感を集めています。題して「花いっぱいプロジェクト」。家庭や職場にぜひ春の花を飾ろうと呼びかけています。
同プロジェクトは農林水産省が3月6日より始めたもの。「花を贈られるというのは素敵な経験。卒業式の中止でこの機会を逃した子へ、花束を贈ってみては」「ホワイトデーに花を贈ってみては」「就職など新たなステージへ進む方へ贈ってみては」といったように、花のプレゼントや活用事例を美しい画像とともに同省公式SNSに紹介。ツイッターのリプライ欄には、「大賛成」といった賛同の声のほか、「#こういう時こそお花を飾ろう」というハッシュタグにあわせて、実際に個人で花を買ったり、各家庭で花を飾った様子が数多く投稿されています。
プロジェクト発進の経緯や、意義について同省の担当者に聞きました。
―もともと3月は花の需要が高まる時期だとか。
「毎年、この時期は卒業式を始め、送別会などで切り花などがよく出ます。日本全国の花農家が3月に向け、丹精込めて育ててきた花を無駄にはしたくない、との思いからこのプロジェクトを立ち上げました」
―たしかに卒業式などのイベントはキャンセルが相次いでいます…。
「結婚式も多いシーズンですが、お式の先延ばしなどもあるようです。また各種フラワー・フェスティバルなども中止になっているので、花市場や花屋などを助けたい、との思いもあります」
―プロジェクトの意義は。
「毎日、気鬱なニュースがテレビやウェブに流れ、ストレスフルな日々だと思います。そんな時だからこそ、1輪からでも良いからお花をいけてもらえれば、と。ご家庭にお子さんがいれば、親子で一緒に春の訪れを感じてもらいたいですし、職場の机などに飾ることで、忙しい皆さんの癒やしになればと願っています」
農林水産省によると、今後もSNSでは「今週の花」など季節感あふれるコンテンツを発信していく予定だそう。また農林水産本省、地方農政局などの玄関、待ち合わせスペースを花で飾り、来庁者に気軽に花に親しんでもらう機会の提供などを通し、需要が減少している花の消費拡大を目指していくそうです。