「お金がもったいない」と避妊手術を拒否する飼い主 外飼いの野良ネコ一家をまとめて保護

渡辺 陽 渡辺 陽

近所で外飼いされている猫がいた。不妊手術もせず、野放しにされていた。当然のことながらメス猫が妊娠、出産。動物愛護団体に勤めている桑原さんは、不妊手術を勧めたが飼い主は聞く耳もたず。あげく「猫が増えてもそのうちいなくなる」と言い放ったため、母猫と子猫たちを保護した。

 

外飼いされている猫の妊娠、出産

2018年の冬、千葉県に住む桑原さん宅の庭に1匹のメス猫が遊びに来るようになった。意外と早く懐いた。

「少しおデブちゃんだなと思っていたら、どんどんお腹が大きくなって、妊娠しているのだと分かりました。毎日来るようになっていたのですが、2019年6月半ば、ピタッと来なくなったので、どこかで出産して子育てしているのだろうと思いました」

 野良猫ではなく飼い猫のようで、「また姿を見せたら、近所に住んでいる飼い主さんに不妊手術をするようにお願いしなければならない」と思っていた。

 7月になると、メス猫と2匹の子猫が庭に来た。後に近所の人から聞いて分かったことだが、子猫は4匹いて、2匹は里親が決まったのだという。

「子猫が増えてもそのうちいなくなる」

桑原さんは、ひとまず2匹の子猫を保護した。

2匹の子猫のうち1匹は目ヤニで目がくっついていて、よく見えないような状態で母親の気配を追ってフラフラと歩いていた。桑原さんは、すぐにコットンをお湯で湿らせて目ヤニを取り除いた。皮膚病もあり、かきむしったため血が出て、毛も抜けていた。病院では疥癬と真菌によるものだと言われた。

もう1匹の子猫は血液検査の結果も正常で、元気で可愛らしかった。

桑原さんは5匹の猫を飼っていたので、「これ以上は経済的に飼えない。人懐っこいので、里親を探そうと思った。

「近所の人から、猫の飼い主さんは、子猫が増えたらどこかに捨てに行っているらしいという話を聞いたので、このままではいけないと思い、話をしに行ったんです」

 「面倒をみないのなら、私が病院に連れて行ったり、不妊手術を受けさせたりしたいのですが、構いませんか」と確認した。飼い主と思われる女性は、案の定「うちの猫ではない。居ついているから、たまにごはんをあげている。避妊手術なんてお金がもったいないよ。増えてもそのうちいなくなるよ。勝手にやって」と言った。

どんな猫とでも仲良くなれるフレンドリーな猫

桑原さんは、子猫を保護したのはいいが、治療費や不妊手術代をどうしようと悩んでいた。しかし、猫仲間の人が援助してくれたので、動物病院に行くことができた。

メス猫はTNRした。キジトラの女の子の子猫は、以前子猫を譲渡した人に写真を見せたら、ひとめで気に入って里親になってくれた。もう1匹の子猫は、お世話をしているうちに情が移って、桑原さんが飼うことにした。名前は空(くぅちゃん)にした。

猫風邪や皮膚病が完治してから先住猫に会わせると、お互いすぐに打ち解けてくれた。他の猫と折り合いが悪かった孤高の猫ルナちゃんとも仲良くなれた。

ニャッ、ニャッと鳴いて甘えてくる。寝る時は、なぜか桑原さんの顔や首の上で寝る。おかげで首元が温かく、よく眠れるのだという。

 

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