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30年の生涯を終えた動物園の人気者・カカバのカッピーが生き抜いた奇跡の日々 担当飼育員が6000文字を超える長文ブログに込めた思い

茶良野 くま子 茶良野 くま子

神戸市立王子動物園で6月、果下馬(カカバ)のメス、カッピーが30年の生涯を終えました。治療が難しいとされる病気との闘い、まだできることがあるのではと話し合い、寄り添った飼育員や獣医師。その日々を振り返った公式ブログは6000文字を超える、長く、重く、そして温かいものでした。担当飼育員の原野唯華さんに聞きました。

果下馬は中国原産の小型の馬。カッピーは中国の動物園から来園した両親の間に1996年1月に誕生しました。一時期、乗馬用に同市の「しあわせの村」へ移動し、2002年に帰園。「ふれあい広場」の木陰でまどろみ、ブラッシングをせがんで飼育員に圧をかけ、前髪やたてがみの編み込みで「おしゃれ番長」ぶりを発揮。のんびり気ままに過ごす姿が人気でした。

そんなカッピーに異変が起きたのは2025年夏ごろのことでした。

 

ー蹄の病気になったと

「高齢の馬にみられる蹄葉炎と、下垂体機能障害という病気でした。手作りシューズに始まり馬用シューズで過ごしたり、脚への負担を減らす床材を試したりしましたが、秋には室内で過ごしてもらうことになりました」

ー環境が変わることに

「ずっと屋外だったので心配でしたが好奇心旺盛な性格のおかげで案外すんなりと受け入れてくれました。そばで見守り、身体を支えるための道具を作りました。褥瘡ができないように肌に当たる部分を柔らかいもので工夫しました」

ー2月から展示中止に

「それでも外に出たがればみんなで支えて移動させると気持ちよさそうに寝ていました。『かわいそう』という声も聞こえましたが、応援の声をたくさんいただきました。小さなお孫さんにも分かるよう優しく説明してくださる方も。何よりもカッピーはがんばっていて、あきらめていませんでした」

担当になった9年前は「新入りなんて受け入れられない!」という勢いだったというカッピー。「とにかく我が強くて、時間厳守で、エサの時間が少しでも遅れるとむちゃくちゃ怒っていました。腹時計が正確なんです。その時はもう高齢でしたが、それを感じさせない若々しさがありました」

闘病を振り返り、「悲しい苦しいよりも、できることがまだあるんじゃないかとみんなで話し合いました。気持ちを悟られないよう何でもないような顔でそばにいましたが、体調が急変した時はカッピーには分かっていただろうな。泣き顔で見送ってしまって、『自分はまだまだやな』と思いました」

その翌日、カッピーと過ごした建物の中で、「カッピーと歩んだ9年間」を、思いを、全て文字にしてブログに綴りました。

「獣医師も飼育員もカッピーをただ長生きさせることだけを目標としているわけではありませんでした。もちろん、少しでも長く生きてほしい。でも、それ以上に大切な事は『カッピーが、カッピーらしく過ごせるか』という事です」

「私たちは、カッピーのケアをしているつもりですが

実際はカッピーから教わる事の方がずっと多かったです」

「命と本気で向き合う現場で、命を繋ぎ『救う』という事だけではなく、

自分ではどうにもできない現実を受け入れなければならない時もあるんだと、痛感した瞬間でした」……

「もちろん辛かったです。でも、伝えないと、と。応援してくださる方、カッピーを見て『わたしもがんばる』とおっしゃってくださった方、皆さんにちゃんと伝えたいと思いました」

12種59頭を飼育するふれあい広場。5人の飼育員がそれぞれ、動物種による特徴に加え個々の性格を把握し、来園者に伝えるため、掲示物や声掛けにも工夫を凝らしています。「担当動物の一番の理解者でありたい」と原野さん。カッピーの屋外展示場では現在、ケアに使った道具類などを展示中で、今月16日には講演も予定しています。

「担当の動物はカッピーだけではなく、他の動物もたくさんいるので、いつもまでも悲しんでいられません。動物たちの世話をしながら、同時に元気をもらっています。いろいろな動物のケアで得た経験がカッピーに役立ちました。動物と接する仕事をしている方や、一般家庭で悩んでいる方、情報を探している方々の力になりたい。カッピーのことを伝えることが、動物の命を守ることにつながると思っています」  

◇  ◇

ふれあい広場での道具類などの展示は8月18日(火)まで。講演は園内の動物園ホールで8月16日(日)14:00から。詳細は公式サイトで。

 神戸市立王子動物園

スタッフブログ「カッピーと歩んだ9年間」

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