被災地のかつての姿も…原付で全国1741市町村を回った大学生、かけがえのない「ふるさと」の写真に込めた思い

広畑 千春 広畑 千春

 旅を終えた17日、仁科さんは地元・倉敷のラジオ番組に出演しました。それは、旅の途中で出会った人たちとの「約束」を果たすためでもありました。

 旅を始めて100日が過ぎた2018年7月、仁科さんが北海道にいたとき、西日本豪雨が起きました。岡山県総社市での爆発音、高梁川水系が危ないというツイートをずっと見て震えていた夜。翌日飛び込んできたのは、故郷の倉敷市を始め、大学のある広島県、それまでに訪れていた愛媛県西予市や大洲市、宇和島市などの被害でした。「旅をやめて、地元に戻り大きな被害を受けた真備へ行かないと。でも、今できることをやるべきか」…。悩んだ末に旅を続けた仁科さんを支えたのは、やはり現地で出会った人だったといいます。

 「西日本がんばろう」というステッカーを作って原付に貼って走ろうと、駆け込んだ函館市の印刷屋の社長は連休を挟み4日かかるところを1日で仕上げ、50枚の値段で100枚作ってくれました。立ち寄る先々で「地元は大丈夫か」と心配され、「帰ったら(応援していると)伝えてくれ」と声を掛けられ、野球チームのヘルメットや楽器に貼ってくれる人も。最後のステッカーは、真備出身という山形のゲストハウスの女性に手渡しました。

 「辛いときや大変なとき、この国に溢れている愛を思い出せるように、原付に貼ったステッカーはまだ剥がさずにいようと思います」とブログに記した仁科さん。春からは写真を生かして働くそうです。「写真もまだまだ基礎が全く身についていないので、早く一から勉強し直したいです。旅も、市町村という単位では一つ一つ伺いましたが、巡れば巡るほどまだまだ知らないことばかり。また行ってみたい場所もまだまだあります。ただ、こうした旅をさせて頂いたことは本当にありがたく、つくづく幸せ者だと感じます。これからも自分の写真から何かを届けられるように、精一杯精進したいです」と語ります。

 写真は仁科さんのブログで見ることができ、写真集も販売しています。あなたのふるさとや知っているまちも、見つけてみませんか?

 ブログ「ふるさとの手帖」http://katsuo247.jp/post-28596/

 写真集「日本よはじめまして」はA5サイズ、フルカラー150ページで送料、税込み3500円。ホームページから購入可能。

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