80年代の「爆窃団」を想起!荒っぽい手口の窃盗事件が各地で連続発生中

小川 泰平 小川 泰平
工具などを使った荒っぽい手口の窃盗事件が各地で発生している(naka stock.adobe.com.jpeg)
工具などを使った荒っぽい手口の窃盗事件が各地で発生している(naka stock.adobe.com.jpeg)

 静岡市内で発生した強引な手口による窃盗事件について、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は21日、当サイトの取材に対し、「同一の連続犯行である可能性が非常に強い」と推定し、「1980年代には特殊な工具(油圧ジャッキ)などを使用して店舗の壁から侵入する窃盗集団『爆窃団(ばくせつだん)』が存在したが、今回の手口は非常に荒っぽい犯行である」と解説した。さらに、その前日、名古屋市内でも発生した同様の事件との関連性も指摘した。

 静岡での事件発生は17日未明。同市葵区の時計修理・中古品販売店のシャッターがこじ開けられ、腕時計10数点や現金入りの金庫が盗まれた。被害総額は約100万円という。その15分前には、同市駿河区のブランド品買い取り販売店の防犯カメラに、2人の男性とみられる不審者がゴルフクラブで窓ガラスを叩き割り、店内に侵入しようとした様子が映っており、目撃者に声を掛けられて車で逃走。こちらの盗難被害がなかった。捜査関係者によると、車には盗難ナンバープレートが付けられ、未遂に終わった駿河区の店舗から逃げた後、葵区の時計店に移動して犯行に及んだとみられている。

 小川氏は「間違いなく同じ人物の連続犯行」と明言。「当初から複数店舗での犯行を計画していたと思われます。2軒目はシャッターが下りていたので、中に何があるか分からないはずだが、当然、下見をして店内に何があるかが分かっていて、準備もしていたと思います。防犯カメラに映ることも、機械警備で通報されることも承知の上で、3分から5分以内で犯行を終えているのが手口の1つ」とする一方、「未遂に終わった最初の店ではバールで開かないのでゴルフクラブを出してくるあたり、準備が万全とは言えない」と行動に統一感がないことも指摘した。

 小川氏は「泥棒は『気づかれない、見つからない、捕まらない』という三原則の元、動くのですが、『これだけ大きな音を出せば気づかれる、人が来ると見つかる』と分かっているにも関わらず、その大原則を度外視して行動している点で非常に荒っぽい犯行であると言える」と付け加えた。

 犯人像について、同氏は「一見して外国人による犯行と思われるが、それにしては被害額が少なすぎる。通常、外国人が貴金属店を狙う場合、『ヒット&アウエー型』といって、犯行後即日、国外逃亡し、警察が現場に来る頃には『機上の人』になっている場合が多い、下見も十分に行い、被害額もそれなりに多額になる場合が多いが、今回の犯行はそれとは違うのかなと思います」と分析した。

 今回の事件に限らず、小川氏は「最近の傾向としては、防犯カメラが設置されていること、機械警備がされていることを承知の上での荒っぽい犯行が目立ちます。今年に入ってからも、京都、神戸、名古屋、静岡で、同様の手口で、質屋、ブランド品買取り業者、時計店が狙われ被害にあっています。」と警戒を呼び掛けた。

 対策として、小川氏は「高額で狙われそうな品は閉店後、金庫に入れる等、店頭に高価な貴金属類を置かないこと。今回は2軒目の店から金庫を持って行かれたが、短時間では破壊されない、搬出されない金庫もある」と提案。さらに「一般の家での場合ですが、帰宅して泥棒に入られたと気配を感じても、絶対に室内に入らないこと。まだ泥棒が中にいる可能性があり、犯人と鉢合わせになることもある。外に出て110番することです」と二次被害を防ぐ対策も指南した。

 小川氏は「16日未明には名古屋市中区でも静岡と似たような事件があった。車で何度もシャッターにぶつかるという荒っぽい手口で、盗難ナンバーだった。まだ断定できないが、同一犯の可能性がある」と想定した。

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