手話で会話していたグループに店員が差し出したのは…居酒屋の「紙対応」に感動した本当の理由を聞いた

広畑 千春 広畑 千春

  「これびっくりしたー」。昨年末、そんな言葉で始まる、ある女性のツイートが話題を集めました。それは、居酒屋を訪れた耳が聞こえないろうの人たちのグループに、店員が差し出した人数分の紙。そこには料理の説明や食べ方などが丁寧に書かれてありました。

  ツイートは、ねこ(お空に耳を置いてきた)(@catfoodmami)さんのもの。「正真正銘のお客様ファースト!」「日本って捨てたもんじゃない」など賞賛の声が相次ぎ、これまでに2.3万件のリツイートと7.1万件のいいね、を集めています。ねこさんにお話を聞いてみました。

ーどんな状況だったのですか?

「ろう者の友人たちとご飯を食べようと入ったのですが、注文のあと、みんなで手話べりしていたら、料理と一緒に説明の紙を持ってきてくれたんです。初めて訪れたお店で、何もこちらからは伝えていないのに、ほんの短時間でタイピングしてくださった機転と心遣いに本当に驚きましたし、感動しました」

ー普段食事に行くとどんなことに困られることが多いのでしょう。

「そうですね。私は特に嫌な思いをしたということはありませんが、例えば、注文した後店員さんが確認のためメニューを読み上げるのがわからないんです。注文の際に指差しなどをしているので、私が耳が聞こえないと気付いていらっしゃるとは思うのですが、なぜか読み上げられることが多くて…。あと、呼び出しボタンがテーブルにない店だと店員さんを呼ぶのが大変です。こういう時は店員さんと目が合うまでじっと待つか、または手を振って気づいてくれるまで待つ、または直接店員さんのところに行って呼ぶなどしていますね」

「少し発音ができる友人もいますが、それでも完璧ではないので、注文した内容と違うものが来たりしたことはあるそうです」

ー今回のような対応は初めてですか?

「3年前ぐらいにもこうした対応をしていただき、Twitterでバズったことはあります。その時は初めての予約で電話リレーサービスという日本財団のサービスを使って予約の電話をしたのですが、耳が聞こえないと名乗った時、他の店だと『耳が聞こえないのはちょっと、、』と言われたり、『聞こえる人と一緒ですか?』と聞かれたりすることも多かったのですが、その店では気持ちよく『どんな対応をすれば良いですか?』『何か気をつけることはありますか?』と聞いてくださいました」

「実際に店にお邪魔したときにも、お客と一緒に席で仕上げる看板メニュー『しめ鯖の炙り』を注文したのですが、口頭での説明の代わりに、可愛いイラストで描かれた説明の紙が出てきて、びっくりしました」

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