補聴器のイメージが一変しそうだ。補聴器を必要とする人にとっては生活に欠かせないものだが、デザイン面を見ればいたって地味な存在で、どちらかというと隠して使用されるもの、というアイテムだった。そんな考えを根底からくつがえすデコ補聴器・デコチップを発信し、補聴器がかつてメガネがそうだったように、これからはお洒落アイテムになると話題になっている。重度感音性難聴で発信者のあきさんに話を聞いた。
「補聴器ユーザーは、隠したいと思う人が多いんだよね。むしろほとんどと言って良いくらいかもしれない。目立たないように…見られないように…って。聞こえない事をも隠そうとする人もいる。私にとってのデコ補聴器・デコチップは『世の当たり前』を変えていきたい希望や夢、意志そのものなんよ」。あきさんが18日、デコ補聴器・デコチップの写真とともにそうツイッターに投稿すると多くの反響が寄せられた。
「写真だけ見て、新種の耳飾り!?可愛い!と思いました。補聴器なんですね。お洒落でいいですねどんどん広まると素敵ですね」
「医療系の仕事をしてますが、補聴器の方と気づかず普段通りに話して、しばらくして実は…ということが多々あります。補聴器の方と知ってたら対応が変わってきますし、工夫もできます。私は補聴器が必要なことは個性の一つと認識してるので、隠す方が多い現状が変わるといいなと思います!」
「補聴器はメガネのように五感をサポートしてくれるもの。メガネはオシャレなものがたくさんあるが、ダサかったら確かにかけたくない」
投稿者で、宝塚市の自然塾「いころ」を運営するあきさんに話を聞いた。
−−投稿に多くの人が共感していました
「全体的にポジティブな希望を感じられる反応・コメントがとても多く、明るい未来へのパワーを感じられ、大変うれしい気持ちになりました。同時に、多くの人が『地味、デザイン性がない、味気ない』と感じている現実をも感じました。それが理由で抵抗を感じている、使う必要はあっても気が進まない、かっこわるいと思っている人が多いと改めて感じました」
−−「メガネ」のようにファッション感覚でつけれそう、という声がありました
「一昔前はメガネもダサい印象が強かったですよね。レンズの厚みを改善し、フレームで個性を発揮できるアイテムとして認識されはじめた流れで伊達メガネなるものが生まれました」
「補聴器は『聞こえない人』だけがつけるものではないです。聞こえにくくなった人は、無自覚のレベルでストレスを抱え込む傾向にあります。じわじわと人との付き合いがおっくうになり、孤独を感じたりすることで性格・言動にまで影響します。日常生活をより過ごしやすくする為の選択肢として、ごく当たり前のものになってほしい。デコチップで抵抗が和らぎ、また着飾る事を前提に、補聴器の購入を検討する流れが生まれたら、とてもうれしいです」
−−そもそもデコ補聴器を作ろうと思ったきっかけは?
「生まれつき重度の感音性難聴で、1歳半すぎくらいから補聴器を装用してきました。大学生の頃からレクリエーションキャンプリーダーをやっており、子どもと接する機会がとても多かったのですが、その中で子どもの視線が耳に向くものの、パッと目をそらされる事が多かったです。親から『じろじろ見てはならない』と教えられているのかもしれませんが、子どもなりに気にはなるけど我慢しているようでした」
「補聴器について耳のことについて聞かれることに抵抗は全くないのですが、必要以上に気を遣われる場面が多いとも感じています。『なんか、それイイね』とフランクな話題を引き出せるようにできないかなと考え始め、デコレーションする事を思いつきました。シーンに合わせて補聴器の装いも手軽に変えたいという思いから、着せ替えチップの開発を始めました」