長崎県の対馬で携帯電話を使うときには、ちょっぴり注意が必要です。場所によっては韓国の携帯電話会社に接続してしまい、国内にいながら韓国で通信したとみなされ、国際ローミングの料金が取られてしまう可能性があるためです。筆者も訪問した際に、持っていた携帯電話が海外パケット通信に関するSMSを受信。知らない間に韓国の電波をつかんでいたことを知って驚きました。さすが国境の島ですよね!!地元の方にお話を聞くと、どうも対馬ならではの「携帯あるある」のようです…。
対馬は日本と韓国の間に位置する離島です。直線距離を測ると、九州本土までが約120キロに対して、韓国までは50キロほど。島の北西部からは対岸の韓国・釜山市の街並みを望むことができ、「異国の見える丘展望台」や「韓国展望所」といった展望台が、人気観光スポットになっています。
対馬を訪問していた12月13日の午後、筆者の携帯電話に下記のようなSMSが届きました。
「◆海外パケットし放題について この国・地域では全てのネットワークが海外パケットし放題対象です。…」
…おやっ?これは海外に出かけて、到着地の通信事業者の電波をつかんだときに届くメッセージなのでは?あわせて外務省から海外安全情報のホームページを紹介するメッセージも受信していました。
国内にいながら海外に滞在しているみたい…その驚きを、対馬観光物産協会の方々に伝えると、こういうメッセージを受け取ることは「よくあること」だという反応が。実は「『対馬あるある』のひとつ」だといいます。
「必ずというわけではありませんが、山を登るなどして高いところにいるときや、島の西側に近い場所にいるときは、韓国の通信会社につながることがあり、こうしたメッセージを受け取ることがあります」と話すのは、同協会の観光ガイドの方。
2年前に福岡から対馬に移り住んできたそうですが、引っ越してきた直後にはうっかり失敗した経験が。「海外パケットのメッセージが届いているのに気が付かず、山頂でLINEを開いてしまって…1900円近く請求されたことがあります」とのこと。
このように、知らない間に韓国の通信会社につながった状態で通話・通信をしてしまうと多額の料金が発生するため、「韓国からの電波がよく入る地区の人は、事前に海外の電波で通信をしないようにしている」といいます。具体的には、携帯電話の設定画面で「データローミング」という項目をオフするなどしているそうです。対馬観光物産協会でも、運営しているブログなどで、対馬訪問の際には端末の設定を確認してほしいと呼びかけています。
また、観光パンフレット「るるぶ特別編集『対馬BOOK』」の中でも、取材メモとして「スマートフォンに『SKT』の文字、現る!」と、韓国の電波をキャッチし、画面に韓国の通信会社名が表示されたときの様子が紹介されています。こちらでは、「海外のネットワークに接続したくない場合は、速やかに電源を切るか、機内モードにするとOK」と案内しています。
ちなみに韓国からの観光客の方々は、韓国からの電波がつながるところを活用して、通話や通信をされていたりもするそうです。
◇ ◇
筆者が利用している携帯電話サービスは「Y!mobile(ワイモバイル)」です。今回の事象について、運営しているソフトバンクの広報担当者に聞くと、「いつから、どの程度発生しているのかなどは把握していない」とのことでした。一方で「理論上は隣接国の電波をつかむ可能性はある。特にヨーロッパなど地続きの国では、意図せず隣接国の通信会社と接続することがある」といい、ホームページにも注意事項を掲載しているそうです。
▼ソフトバンク 海外での隣接国接続に関する注意事項が書かれているページ
・https://www.softbank.jp/mobile/service/global/overseas/packet-flat-late/carrier-list/
・https://www.softbank.jp/support/faq/view/10845
また、ネットで検索をかけると、過去にNTTドコモの端末を使っている人に同様の事象が発生していたとの情報もありました。ドコモの広報担当者に確認すると、こちらも現時点では「特に事象が発生しているかどうか確認できていない」とのことでした。「お客様で困っているケースがあれば教えてほしい」とも話しています。