街中を走るタクシーの助手席に、丸みを帯びた白とオレンジ色の物体が乗っている。何だあれ。よーく見たら、珍客ならぬチンアナゴのぬいぐるみでした―。MKタクシーを運行するエムケイ(京都市南区)が、11月11日に始めた京都水族館(下京区)とのコラボ企画だ。でも、なんでチンアナゴなんだ?
チンアナゴはアナゴ科の海水魚。普段は海底の砂から体の半分ほどをのぞかせ、垂直に立つようにして過ごしている。食事を取るときには体を3分の2ほど外に出し、餌となるプランクトンを捕らえる。その姿が数字の「1」に似ていることから、京都水族館は11月11日を「チンアナゴの日」と銘打ち、2016年から関連企画を打っている。
4年目の今年、「チンアナゴの日」をさらに広めようと、京都水族館がMKタクシーに声を掛けた。両者はすでに、今年9月9日の「オオサンショウウオの日」をアピールするため、オオサンショウウオのぬいぐるみを助手席に乗せる「オオサンショウウオタクシー」を企画した実績がある。話はとんとん拍子でまとまり、その名も「チンアナタクシー」の運行が決まった。
「チンアナタクシー」は3台。いずれも助手席は全長85センチのチンアナゴのぬいぐるみ2体の指定席だ。なので、車内は運転手を除き6人乗りながら、5人しか乗れない。
ぬいぐるみは、首元(?)にエムケイ乗務員と「おそろい」のネクタイを着用。「空車」などを表示する「スーパーサイン」の横にも、小型のチンアナゴのぬいぐるみが鎮座している。ドアに「チンアナゴご乗車中」というステッカーが貼るほどの徹底ぶりだ。
運行は12月1日まで。午前7時半から午後6時半まで京都市を中心としたエリアを走る。料金は通常と同じだが、乗客には記念に「特別相乗り感謝カード」を贈る。チンアナタクシーを指定しての予約はできない。エムケイは「町中で走っているところを見つけて乗ってください。祇園、四条河原町といった繁華街や大学病院付近だと見つけやすいです」と話す。