橋本マナミ、愛人ブレイクの影に「主婦層からクレーム」「一般人から愛人オファー」

石井 隼人 石井 隼人
映画『地獄少女』で妖怪・骨女を演じる、橋本マナミ(撮影:石井隼人)
映画『地獄少女』で妖怪・骨女を演じる、橋本マナミ(撮影:石井隼人)

夢は女優、でも売れたのは愛人で。鳴かず飛ばずの20代を経て、30代で愛人キャラ開花。バラエティ番組で知名度を上げて、念願の女優業でお声がかかることも増えた。朝ドラにも出演し、映画にも主演。11月15日には遊女の妖怪・骨女を演じた映画『地獄少女』が公開される。

芸能デビューは中学時代に受けた全日本国民的美少女コンテスト。演技部門賞を受賞している。そこから紆余曲折あって、たどり着いた国民的愛人。ブレイク当時の反響はすさまじかった。

時代は、上戸彩主演の不倫ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』が話題になった2014年。「元々は清純派路線で活動していましたが、まったく売れず。グラビアにも挑戦して“昼下がりの団地妻”“いやらしいお姉さん”“若き熟女”と肩書も増えたけれど、なかなか定まらず。そんなときに『昼顔』のヒットがあり、不倫、愛人ブームが到来。20代の頃から愛人っぽい雰囲気だと言われていたので、中身と年齢がベストな時期にマッチした」と“国民的愛人”誕生の瞬間を考察する。

愛人はあくまで作り込んだキャラ。しかし橋本から放たれる絶妙な色香が本物の愛人感を醸し出し、ブレイクしてしばらくは、バラエティを通して橋本を知った視聴者からのクレームが絶えなかった。「主婦層からの嫌われ方は凄くて、番組から求められて愛人系エピソードを話すと、“愛人のくせに口が軽い!”との苦情や、朝や昼の番組からは、視聴者層に合わないという理由で出演を見送られることも。キャラ付けに悩んでいた時期も長かったので、“愛人”というポジションを見つけたときは自分の居場所が見つかった!と嬉しかったけれど、まさか世間にこんなに批判されて嫌われるとは…」と予想以上の反響に驚いた。

愛人キャラは女優業を掴み取るためのファーストインパクトのつもりだった。しかしインパクトはあまりにも大き過ぎた。「キャラなのにそれが本当だと思われてしまう戸惑い。バラエティの仕事は来るけれど、ドラマの仕事に繋がりづらい。女優としてのオファーは来ないのに、本物の愛人と思われて一般の方から愛人オファーが来る。パブリックイメージって凄い」と今だから笑える。

お笑いの一発屋と同じで、作り込んだキャラクター性も日々の消耗に耐え切れずに消えていく確率が高い。橋本にも「バラエティだけでやっていたら、すぐにネタもなくなり飽きられる」という危機感があった。そんなときに思い出したのは、下積み時代のこと。セリフももらえず、冬場の川で死体役を経験した辛さと悔しさ。「遅咲きだからこそ、仕事をいただける難しさ、ありがたさを知っています。だから調子に乗らない。充実していても満足せずに勉強。いまだに一般の方たちと混ざって演技のワークショップに通っています」と地道をモットーにやってきた。

愛人キャラからかけ離れた生真面目な姿勢。その意外性がウケた。「朝ドラ『まんぷく』では、男性経験のない役をいただいたり、愛人キャラとは違う内面を面白がってくれる方が増えました。愛人キャラによって嫌われることもあったけれど、同時にイメージの幅も広がった気がする」と“国民的愛人”という肩書に感謝する。

愛人ブレイクした平成も終わり、新時代の令和で橋本が目指すのは“国民的本妻”だ。「結婚もしたいですが、仕事面でも愛人という日陰ではなく、本妻として堂々と歩きたい。批判されず、人に嫌われることなく女優業1本で我が道を歩きたい。愛人キャラを5年もやり続ければセクシーさも身につきましたが、今後は色々な役の引き出しを持てる女優になっていきたい」と長年の夢を本格的に叶えるつもり。

愛人というキャラクターに信憑性を持たせて演じてきた力量は確かなもの。それを超えるものが果たして出せるのか。国民的本妻・橋本マナミの活躍はいかに。

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