俳優生活は5年目に突入。朝ドラにも出演し、バンド「2」を率いてのツアーも充実している。ミュージシャンであり俳優の古舘佑太郎(28)。「破壊と再生が好き。積み上げたものをぶっ壊す」。そんな古舘が、朝ドラ『ひよっこ』の脚本家・岡田惠和(60)と銀杏BOYZ・峯田和伸(41)が原作を務めた映画『いちごの唄』(公開中)で主演を務める。
映像主演作は3本目。しかも今回は出演した朝ドラの脚本家・岡田と音楽界の先輩・峯田による作品。「音楽でも役者でも先輩である峯田さんの意志を継ぐという意識が自分の中にあって、非常に緊張しました」と意気込みは十分すぎるほど十分だった。ゆえにクランクインまで準備に準備を重ねて、何度もリハーサルに臨んだ。ところが「撮影スタートの直前に何が何だかわからなくなってしまって…。これはまずいとサウナに行ったりして(笑)。とにかく落ち着きがなくなってしまった」と苦笑い。
それを救ってくれたのは、相手役を務める女優の石橋静河(24)だった。「石橋さんは劇中でも女神的ポジションですが、現実でもリアル女神でした。僕よりも2歳年下なのに、ときにお姉さんのような独特な雰囲気を持つ方。瞳も凄く綺麗。撮影以外でも劇中同様に目を合わせて話すことができなかったくらい。普段の僕と石橋さんの関係性をそのまま役として出せば成立した」と感謝しきりだ。
古舘の俳優としてのスタートは、当時結成していたバンドThe SALOVERSとしてカメオ出演した映画『日々ロック』(2014)から。それまで音楽の世界しか見て来なかった古舘にとって、映画撮影というお祭りは新鮮に映った。「その経験の中で音楽の世界とは違う、新しい出会いもあった。僕自身、積み上げたものをぶっ壊していくような、破壊と再生が好き。だから新しい挑戦にも躊躇がない。『これできる?』と言われたら、たとえそれが未経験であっても『YES』と飛び込んでしまうタイプ。その精神のまま突き進んできた5年間」と俳優としての道のりを振り返る。
『いちごの唄』では嬉しい再会もあった。共演者で朝ドラ『まんぷく』で注目された女優・岸井ゆきの(27)とは古い友達。「会うのは久しぶりで、『あの人どうしてる?』みたいな会話で盛り上がって、同窓会みたいになった。僕が音楽しかやっていないときに知り合ったので、芝居を見られるのが凄く恥ずかしくて」と照れるも「でもお互い長い時を経ていまだにこの業界で続けていて、再び出会えたのが嬉しかった」と感慨深い。
音楽業も俳優業も堅調だが、頭をもたげてくるのはデストロイ。「俳優として成長できているのかはわかりませんが、技術的に身についたものはあると思う。でもその分、初期衝動は薄れているように感じる。技術ばかり高めて頭でっかちはイヤです。音楽も俳優業も『楽しいゾ!』という初期衝動だけは忘れたくないので、これからも積み上げたものをぶっ壊していきたい」。俳優歴5年の節目を契機に、古舘はどう化けていくのだろうか。