―ところで素朴な疑問なんですけど、公開記念のトークイベント(10月23日、テアトル新宿)にAKB48の峯岸みなみさんの名前があるのは何故?
「単純に僕が好きなんです。『見てください』って映像のサンプルを送って、事務所の人にも『何が何でも頼みます』とお願いしたら、受けてくれました。型破りなアイドルですよね。僕も彼女とフライデーされるように頑張って、さらに話題にしていこうかなと企んでいます」
―何を言い出したの。あ、ということは、元AV女優の琥珀うたさんが出演しているのも太田監督がファンだから?しかもあんなことまでして!
「いやいや、本当は素人の女性がよかったんですが、直前に親の反対で降板されまして。AV監督のカンパニー松尾さんに『セックスができて演技が上手い人』ということで紹介してもらいました。琥珀うたさんも西成に来てくれて、一緒に雑魚寝です。『こんな過酷な現場はAV人生でも経験したことがない』と言ってビビッてました。でもいい思い出にはなったみたいで、『楽しかった』と言ってくれています」
―ようやく公開されるわけですが、今の気持ちは?
「よかったです。今はむしろ『5年後の公開でよかった』とも思っています。撮影にも使ったあいりん総合センターが閉鎖され、芸術祭では表現の自由や検閲が問題になっている、今がまさにどんぴしゃのタイミング。映画を作っても、『すぐには公開しない』という選択肢もありなのかも。そういう意味では勉強になりました」
―最後に、西成特区構想についてはどう考えますか。
「あいりん地区は、関空などからのアクセスが良く、土地も平坦で、新世界などの観光名所からも近い魅力的な場所。だから、行政のやりたいことはわかる。でも僕が一番懸念しているのは、あそこでしか生きられない人たちのことです。あの街が最後のセーフティーネットになっていた側面は多分にある。その人たちの行き場をどうするのかということは、行政がもっと丁寧に考えるべき大きな問題だと思います」
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「解放区」は10月18日から東京・テアトル新宿で公開。その後、全国の劇場で順次公開される。
関西では10月17日、京都国際映画祭の企画としてT・ジョイ京都で19時10分から先行上映。太田監督のトークイベントも予定されている。
▪️「解放区」公式サイト http://kaihouku-film.com/
▪️京都国際映画祭のイベント情報 https://kiff.kyoto.jp/news/detail/38