「ウイルス感染で懲戒処分」なんてセキュリティ対策はどうよ?…自主制作アニメ「こうしす!」最新作公開

川上 隆宏 川上 隆宏

―てっきり、交通やインフラ関係企業の社内エンジニアの方なのかと思いこんでいました…。

「舞台として鉄道会社を選んだのは、自分自身が鉄道好きだった…というのもありますけど、仕事で関わっている分野ではない業種を取り上げたいと思ったからです」

「作品中の会社名『京姫鉄道』についても、存在しない鉄道会社名というのはもちろん、一度路線が計画されたのち、事業が中止された路線名を使っています。そういった名称は再び復活することはないので、実在しているものと混同されないと考えました。アニメ中の関西を想起させる風景も著作権的に問題がないか検討していますし、本社として使っている旧・姫路モノレールの大将軍駅の様子も室内・室外ともに取材を行い、その際に利用許可を得ています」

―そういった細かい配慮ひとつひとつが、より一層、情報セキュリティを扱っているアニメらしいなとも感じます…。

「ちなみに、鉄道会社を作品の舞台に選んで都合がよかったことがあります。鉄道の場合、重大な事故が起こると、国土交通省から調査報告書が出されるため、事故の内容や対応のプロセスがよく分かるんです。情報セキュリティについても、こういったかたちで情報公開が行われていれば、取り組まれている人たちに役立つだろうなと感じています」

しかし…なぜ「広報部システム課」?

―あと、最後にひとつ。なぜ作品のタイトルは「広報部システム課」なのですか。社内システムの管理を「広報部」がしている会社って、あまりないと思うのですけど…。

「昨今のサイバー攻撃による被害の増加にともない、組織の中にCSIRT (シーサート: Computer Security Incident Response Teamの略)という専門対策チームを設けることがありますが、セキュリティチームは社内外に情報提供をする広報的な役割もあります。アニメでは予算があまった部署に作られた設定なのですが、まわりまわってセキュリティの観点からすると、実は最先端の取り組みになっているんです」

―関心を持ってもらうこともセキリュティということですね。

「情報セキュリティは技術的なことと考えられがちですが、実は文化的な側面も強いんです。すべての人達がセキュリティのリスクを『自分のこと』として考えられるように、親しみやすい物語形式の作品を通じて発信していきたいですね」

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動画はニコニコ動画、もしくはYoutubeにアップロードされています。過去の作品も含めて、下記の公式サイトからご覧いただけます。

https://kosys.opap.jp/

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