「任務ですから!」台風災害の被災地で活動する自衛隊員の声

「空を仰いで」

 9月、台風15号による深刻な被害が千葉県を中心に九州など全国各地で広がった。気象予報士の半井小絵が、被災地で献身的に作業している自衛隊員ら現場の声をお届けする。

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 災害が多発する日本列島。被災された皆様にお見舞い申し上げます。

 台風15号の暴風が千葉県を中心に広範囲に住宅やインフラ被害を引き起こし、九州北部の前線の大雨では、佐賀県大町町で冠水した鉄工所の油流出事故も発生しました。

 今この瞬間も住民の皆様と共に、各機関が復旧活動や入浴、給食などの生活支援を行っています。

 大災害が発生すると、自衛隊法第83条により都道府県知事からの災害派遣要請を受けて自衛隊が出動します。また緊急時には要請を待たず部隊等を派遣可能としています。

 さらに平成25年から発災1時間以内に出動できる自治体等への支援を目的とした初期対処部隊「FAST・Force(ファスト・フォース)」の隊員が各駐屯地合わせて約3900名、24時間体制で待機しています。

 佐賀の大雨では西部方面特科連隊などの隊員がファスト・フォースとして出動しました。

 ここでいくつか、現場の声をお届けします。

 武雄市に派遣された隊員は、胸まで水に浸りながら約30名を救助しました。「水が多くて足元がわからず恐怖感がありました。全身ずぶぬれで体温が低下し寒かったです。(陸士長)」

 油回収作業に携わった隊員は、「ボートの上が油で滑りやすく、転倒する危険がありました。猛暑で体力的に厳しい作業でしたが、住民の方の声に励まされました。油の臭いが当初は気になりましたが慣れてしまいました。(陸士長)」

 災害廃棄物の集積作業をした隊員は「危険物が混入し怪我や感染症の危険があります。し尿が氾濫した地域から集積された廃棄物は、強い臭気を放ち、滴る液体が作業服にかかることもありました。(3等陸尉)」

 危険と隣り合わせの救助や炎天下、強い臭気の中での作業後、休憩場所がなく車中で休み、数日間、お風呂にも入ることができないのです。

 まだまだあるのですが、一部の声をお伝えしました。

 自衛官に「大変なお仕事ですね」と声をかけると多くの方が「任務ですから!」と笑顔で答えられます。清々しい姿を私はとても頼もしく思います。

 自然の恵みは時に当たり前の日常を奪う恐ろしさがあるという事、改めて考えさせられます。

 一日も早い日常が戻りますように。

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