月額定額飲み放題6500円 サブスクリプション方式を採用した居酒屋オーナーの狙い

國松 珠実 國松 珠実

8月に大阪・中崎町にオープンした、日本酒とうどんの居酒屋「あさり出汁うどんと創作空間 かける小町」が、月額定額飲み放題券を6,500円(税込・数量限定)で販売している。いま流行のサブスクリプション方式だ。「個人の店で、何回来ても何杯飲んでもOKな月額定額制の居酒屋は、大阪初!」と語るのは、オーナーの小西真由さん。飲み放題ドリンクは主に日本酒で、中にはめったにお目にかかれないレアな日本酒もある。サワーやビールもある。やっていけるのかと周囲がハラハラする中、客一人あたりの平均来店数や売上データを考慮し、20代ながら6年間ケータリング事業でつちかった実績と経験で、「十分やれると踏んだ」ときっぱり。

看板メニューの「絶品あさり出汁うどん」(通常880円)は、小西さんが中国で食べたあさりうどんがきっかけ。まさに飲みのシメにピッタリだ。「当初、あさりだけを使うことも考えたが、鰹節や昆布をベースにあさりを効かせるという配分が、一番日本人の口に合う」。出汁は、うどん以外の料理にも応用。人気は、同じく出汁の効いた揚げ出し豆腐(480円)に有機コロッケ(580円)、牛すじ煮込み(530円)など。他にあさりのしぐれ煮おにぎり(380円)もよく出る。これらのメニューは健康にも配慮する。油は米油、野菜は香川県の生産者から直送で仕入れた新鮮なものを使い、低価格で提供する。「フード、ドリンクともに追加注文が多い。みんなでお腹いっぱい召し上がってください」とにっこり。 

客は2~3人連れで女性が中心。予想外だったのは30~50代のビジネスマンが多いことだ。実はオープン時に「月額定額制で飲み放題」がメディアに取り上げられ、新たなビジネスモデルと注目されたのだ。「おもしろいビジネスの話をしたい」、「アイデアが欲しい」と、大手企業のサラリーマンや社長なども来店し、平日は刺激を求める客同士で意気投合することもしばしば。

交流が生まれる中で、珍しい日本酒だけラインナップした高価格帯チケットでの飲み放題はどうかなど、客から新たなヒントをもらうことも。「月額定額飲み放題チケットの方と来店したお連れ様に限り、1,500円で飲み放題にしていますが、これはお客様からもらったアイデア」という。

さらに、9月から店のレンタル貸しも始めている。「店内の大きなモニター画面をプロジェクター代わりに使ってもらう。例えばここで企業様のプレゼンとその後の飲食に使ったり、講師の手元をモニターに写しながらの料理教室も良い。あるいは、深夜0時からの映画鑑賞会。みんなで飲みながら、感動的な映画を観て泣こうとか」。

他にも食材を仕入れる生産者との交流会や、飲み屋向上大作戦と称して近隣の飲食店とサービスや客単価についてのミーティング、さらに企業人事担当者と障がい者とで、障がい者雇用をテーマに話し合う場を設けることも考えている。職種によってどんな強みがあるか、当事者が話し合うのだという。

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