命に危険なのに、猫が袋を咬みちぎってまで食べてしまうサプリがある…中毒死に警戒を

小宮 みぎわ 小宮 みぎわ

犬猫に玉ネギを与えてはいけないというのは有名なお話ですが、中毒というのは『個体差』があるということも、頭の片隅に置いておいていただきたいなとは思います。玉ネギ入りのカレーを2皿完食しても『なんともなかった』猫がいる一方で、玉ネギをひとかけら食べただけで、嘔吐下痢で寝込んだ犬もいました。どのくらい食べたら危険なのか?が気になるところではあると思います。文献でその量を調べることは出来ますが、あくまでも個体差があり、いま起きている症状を見ることが大切です。

しかし、たとえ玉ネギを食べたとして、この事実をなかったことにする魔法の薬というものは、残念ながら有りません。その有害な成分が消化管から吸収されて、ひとたび体内に入ってしまえば(そういう意味では、消化管は体内ではなく体外なのです。)、治療はすなわち、出現した症状を軽減させる対症療法と、体内に入ってしまった有害成分を早く対外に排出させる…つまり解毒させるというふたつが主眼となります。まだ食べたばかりで、その有害成分が胃の中にある場合には、『強制的に吐かせる』という強引な方法もあります。

さて、玉ネギには注意しているから大丈夫…と思っておられる方!人間の内服するお薬やサプリメントにも注意を払ってください。チャック付きラミネート袋に入っているから大丈夫、と思っていても、毎日服用するものなので、蓋のないかごやボックスに入れてキッチンの片隅に置いてある方も少なくないのではないでしょうか?

動物病院で出遭う確率の高い犬と猫の中毒ベスト5は、(1)チョコレート(2)玉ネギ(3)キシリトール(4)タバコ(5)人間用の鎮痛薬…であったという報告があります。また、近年ダイエットサプリメント等に入っているα-リポ酸は、特に猫にはかなり危険なサプリメントです。しかも、このサプリメントは何故か猫の好む匂いがするのか好んで食べてしまう子がいるのです!

α-リポ酸について、猫での中毒量は30mg/kgだという報告があります。ある有名健康食品メーカーで販売しているα-リポ酸サプリメントには、1カプセル105mgのα-リポ酸が入っていますので、小柄な猫が1カプセル食べるとアウトです。激しい肝臓障害と低血糖、発作が起こり、死に至ります。しかし、α-リポ酸は犬でも中毒の報告があり(1頭は回復し、1頭は死亡)、人間でも特定の遺伝的素因を持った方が摂取した場合は、低血糖発作が起こるため、厚生労働省のホームページに注意喚起がなされています。

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