わずかなスキに車内に入り込んだ子猫を保護 すくすく成長して体重9.5キロに

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 「大きな猫ちゃん!」。ハッピー君を初めて見た人は必ずといっていいほど、そんな驚きの声をあげる。体重9・5キロ。小型犬に負けないどっしりとした腰周りにツヤツヤとした毛並み。なかなかの貫禄だ。

 そんなハッピー君が愛媛県に暮らすケイさん・ナオさん夫妻のもとにやってきたのは9年前のことだ。

 人家もまばらな山道を車で走っていたケイさんは、一息入れようと自動販売機を見つけて停車。ドアを開けたまま飲み物を買って戻ってくると、車内から「ミャア」と子猫の鳴き声が聞こえてきた。車を降りたわずかの間に中に入り込んでいたらしかった。

 ただ、時折かぼそい声は聞こえてくるものの姿は見えない。困ったタカシさんは車に詳しい友人に助けを求めた。駆けつけてくれた友人は運転席の足もとの隙間にすっぽりと入り込んでいた、両手ほどの大きさの子猫を発見。救出作戦は無事に成功した。

 周囲に親猫や兄弟の姿は見当たらなかった。人気もない。子猫を置き去りにはできなかった。ケイさんはナオさんに「とりあえず、連れて帰る」と連絡を入れた。再び車内で隠れてしまわないように、友人が乗ってきたスクーターのヘルメット入れをケージ代わりにしてもらった。

 キジ白の子猫と初めて対面した日のことをナオさんは鮮明に覚えている。「耳ばかり大きな感じの子猫で。缶詰のゴハンをあげると、よっぽどおなかがすいてたのか『ハフハフハフ』って声を出して、すごい勢いで食べましたね」。

 2人は当時、犬を家族に迎えようと考えていた。かわいがっていたミックス犬のラッキー君が亡くなっておよそ1年が過ぎていた。子猫は、その夜、何かを訴えるように鳴き続けていたが、ナオさんがヒザの上でナデナデし続けると安心したように眠り始めた。ナオさんはラッキー君が使っていたベッドに子猫をそっと寝かせた。2人の思いは共通だった。新たな家族を「ハッピー」と名づけたのは、ラッキー君につながりのある名前にしたかったからだった。

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