すやすやと気持ちよく眠っている子犬。思わず手を伸ばし、フサフサの毛をそーっと触ってみたい。そんな衝動に駆られる1枚の絵が、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで展示されている。
その絵は、近代京都の日本画の大家、竹内栖鳳[せいほう](1864~1942年)が描いた「清閑」だ。同美術館で16日まで開催中の「京都市美術館所蔵品展 動物パラダイス」に出展されている。
栖鳳は、モデルの女性が服を脱ぐのを恥じらう様子をとらえた「絵になる最初」に代表される人物画でよく知られる。その一方、独特の観察眼を駆使し、多くの動物画を手がけたことでも有名だ。今回の出展作にはないものの、青い目をした猫が毛繕いをしながらこちらを見つめる「斑猫[はんびょう]」などの作品でも知られる。
子犬を描いた「清閑」は1935年ごろ、晩年の栖鳳が描いた作品で、縦33センチ、横39センチの大きさ。茶色い耳が垂れた様子や、背中から尾の付近にかけての柔らかい毛並みを見事に表現している。
「動物パラダイス展」では、栖鳳の「冬瓜にねずみ」やコイを描いた「遊鯉」、勇壮なトラ2頭を描いた「雄風」など、計4点が陳列されている。さらに栖鳳の弟子、金島桂華[けいか]が主人の帰りを待つプードルとポメラニアンを描いた「画室の客」なども並ぶ。
開館時間は午前10時から午後8時まで。有料。