55歳以上の人集まれ!奈良シニア大学に1日体験入学してみた

山本 智行 山本 智行
奈良シニア大学の“学生”たち
奈良シニア大学の“学生”たち

 55歳以上のシニアを対象にした「奈良シニア大学」(学長・岩井洋帝塚山大学教授)が開校して5年目に入った。人生100年時代と言われ、生涯学習への気運が一段と高まっている中、本格的な講座内容と活発なサークル活動で学生に大人気だとか。9月9日には東京校が開校。他校との違いは何なのか。1日体験入学してみた。

 「起立!」

 とある平日の午前、一般教養講座をのぞくとシーンと静まりかえった教室にピリッとした声が響いた。こちらも学生に戻った気分。慌てて席を立ち、礼をした。

 奈良シニア大学が誕生したのは、2015年4月。学生43人でスタートし、現在は奈良校と橿原校に分かれ、合計230人が学ぶ。男女比はほぼ半々だそうだ。

 シニア大学は全国に点在し、決して珍しいものではない。ただし、そのほとんどが行政や大学機関が主催しており、行政主導だとどうしても幅広い層から多くの人を募集することになり、修学期間が1年単位など短いところが多い。また抽選での入学が多く、せっかく入っても続かないケースも少なくない。

 その点、奈良シニア大学の場合は修学期限を設けていない。運営する一般社団法人「日本コミュニティカレッジ」の矢澤実穂代表理事は、その狙いを「継続的に学び続けられることでコミュニティの機会が増え、人と人とのつながりを生み、しいてはそれが生きがいにつながると確信しています」と話す。

 そのためのカリキュラムも充実している。例えば毎週木曜日に開講している奈良校を例に挙げると午前の一般教養講座では歴史、文学、スポーツ、芸術など幅広いジャンルの講師を招いており、その数はこれまで160人を超える。「同じ講師による、同じ内容の講座はございません」とのことだ。

 実際、この日受講したのはバラのお寺として有名な奈良・霊山寺の東山光秀管長による「霊山寺の七不思議~日本人の心」というテーマの講座だったが、お世辞抜きにおもしろく、心に響く言葉と内容だった。

 製紙会社元社員で3期生の横山和男さん(67)は「一番のいいところは人とのつながり。何よりサークル活動が充実している。数は20ほどあり、学生が主体となって料理、映画、茶道など楽しんでいる」と笑顔を浮かべた。

 午後は書道、絵画、史跡探訪、歴史文学(奈良校のみ)の選択科目に分かれており、横山さんは絵画コース。「絵は初めてでしたが、結構楽しくてね。ここでは4年たつとマイスターになるんですが、できる限り続けるつもり。4年前に体を壊したんですが、いまはゴルフ仲間もいて健康的になった」と笑う。

 この他にも年間イベントとして入学式、新入生歓迎会、研修旅行、学園祭、卒業式などがある。もちろん、奈良シニア大学は学校教育法や大学設置基準にもとづく大学ではないが、単に講座を受けるだけの従来の生涯学習とは一線を画す内容だ。

 代表の矢澤さんはこれまでに福祉施設を経営し、看取りを行うなかで「元気なうちに未然に病気を防ぐことの重要性を感じ取っていた」と言い、そのことが設立の背景にある。その輪は広がり、9月9日から奈良まほろば館(東京都中央区日本橋室町1)で「奈良シニア大学in東京」を開く。奈良県外での通期講座は初めてとなる。

 なにやら楽しそうだし、55歳になったらシニア大入りするのも悪くないかな、でも、まだまだ先の話やなと思っていたら、すぐそこまで迫っていようとは…。

◇問い合わせは0120-830-155

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