千葉の保険金殺人、水難事故装い隠ぺいか…キャバクラ飲酒後の早朝釣りに違和感

小川 泰平 小川 泰平
キャバクラでの飲酒後、早朝から釣りへ。当日は強風で寒く、真冬の荒れた海だったという(acchity/stock.adobe.com)
キャバクラでの飲酒後、早朝から釣りへ。当日は強風で寒く、真冬の荒れた海だったという(acchity/stock.adobe.com)

 千葉県富津市の港で内装工宍倉拓也さん(当時23)を溺死させたとして、養父の内装会社社長宍倉靖雄容疑者(48)ら男3人が殺人容疑で逮捕された事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は30日、当サイトの取材に対し、LINEで犯行計画のやりとりをしていたとみられる3人のうち、主犯格や実行犯を割り出す必要を説いた。

 今年1月27日、拓也さんが港の近くの海底で死亡しているのが発見された。靖雄容疑者ら3人と早朝から釣りをしていたが、拓也さんが行方不明になったという110番通報があり、約8時間後に心肺停止状態で死亡しているのが確認された。

 千葉県警は8月28日に靖雄容疑者、従業員の彫師佐中佑輔容疑者(31)、内装工金子栄司容疑者(50)の3人を殺人容疑で逮捕したと発表。拓也さんには昨年8月に養子縁組した靖雄容疑者を受取人とする総額約5000万円の生命保険が掛けられており、同県警は保険金目当てで、拓也さんを海に落としてから自ら通報するなど計画的に水難事故を装ったとみて調べている。

 小川氏は「養子縁組をした8月から亡くなった期間までは短く、その間に保険に入っていたことを考えると、当初から殺害を考えていたのではないか」と計画的犯行であると分析。「1人では疑われたり、アリバイなどを考えるとやりづらい。今回はあくまでも事故にみせかけるということで、『一緒に釣りに来ていたが、ちょっと目を離したすきにいなくなっていた』などと言うために一緒にいたということを考え付いたのではないか」と推測した。

 靖雄容疑者らはキャバクラで拓也さんに飲酒させた後、午前6時に釣りの現場となった港に行っていた。当日は強風で寒く、真冬の荒れた海だったという。

 小川氏は「このような場合、釣りをよく知っている刑事を担当させる。悪天候で環境の悪い中、あえて釣りに行くからには、かなりの釣り好きで、釣りのことをよく知っているはずである。例えば今の時期は何が釣れるのか、餌は、潮の流れは、といった話をしていけば、『何か違う』という違和感があったはず。宍倉容疑者の車を金子容疑者が運転して4人で来ていたが、その車は2月に警察に押収されている。そういうところから警察は『不自然』と感じ捜査していたと思われる。実際に保険金も支払われていない」と明かす。

 さらに、同氏は「拓也さんに大量のお酒が入っており、実際にご遺体の中から出てきたアルコール濃度を考えると、本人の意思で釣りに行ける状態ではないのではないかというくらいの量が検出されている」と検証した。

 この事件で注目されたのは、容疑者がLINEで犯行計画と思われるやり取りが残っていたこと。「拓也を殺す夢を見た」「あと2カ月だからな」…といった文言があったというが、小川氏は「お互いに『突き落としたのは自分じゃない』と供述しており、実行犯が誰だったかは3人の供述からは得られていない。主犯格(首謀者)と実行犯が誰かを、これから慎重に調べていく必要がある」と指摘した。

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