チョコミントブームがここまで…「ミントとカカオのお煎餅」せんべい王子率いる老舗が限定販売

山本 明 山本 明

 岐阜県大垣市の老舗煎餅店「田中屋せんべい総本家」から今夏限定発売中の「ミントとカカオのお煎餅」が人気です。ここ数年のチョコミン党の台頭により、ついにお煎餅までにチョコミントの緑とこげ茶色の魔手が? 煎餅とミントとチョコレート、三者三様にキャラクターの立った味がそろい踏み。口内で喧嘩しないのかしら…危ぶみながらも、さっそくお取り寄せしてみました。

 手もとに届いた「ミントとカカオのお煎餅」。まずミントの葉をモチーフにした清涼感溢れるパッケージがオシャレ。勢いを得て、一枚、袋から取り出します。直径3センチほどのやや小ぶりの煎餅を、恐る恐る口に入れてみました。ふんわりさくっと卵の甘みが感じられる生地の味わいの後に、爽やかなミントの香気が鼻孔を通りぬけ、最後にほろ苦いカカオのコクが追いかけてきます。口内でさっと溶ける食感は軽焼きのクッキーのようでもあり、いくらでも食べられそう。煎餅の新たな可能性を見た気がします。限定発売に至る経緯を同店六代目店主である田中裕介さんに詳しく聞きました。

 ―制作の経緯は

 田中さん「田中屋は安政六年に創業。創業当初から作っている『みそ入大垣せんべい』は150年以上の歴史がありますが、新しい切り口の商品も作りたいと『玉穂堂』の名義で、「ミント煎餅」や「ココナッツ煎餅」を販売しています」

 「『ミントとカカオのお煎餅』を開発したのは3年前です。バレンタインの時期に、銀座の松屋デパートにて出店させていただきましたが、有名パティシエが立ち並ぶチョコレート売場の中で、なんとか煎餅屋として一矢報いようと必死に作りました」

 「香料や着色料で味を表現しないのが当店流。チョコミントも当然無香料、無着色です。ハーブティーのミント茶葉とカカオニブを粉砕し、生地に練り込むことで、ナチュラルなチョコミント煎餅を完成させました」

 ―なぜ今夏限定販売に踏み切ったのですか

 田中さん「世のチョコミントブームを受け、『チョコミン党』の中で話題となり、『夏にこそ食べたい』とのリクエストをいただきました。流行りにはできるだけ乗らないようにしていますが、直前まで大いに迷った末、夏から秋のお彼岸あたりまでの再販を決定しました」

 ―現在の売れ行きと反響は

 田中さん「大垣の店舗とネット販売だけですが、8月12日までに300袋近く販売しました。通販では首都圏、関西が多いです。『噛みしめていると奥からカカオが顔を出す感じ。意外なほど癖がなくて幾らでも食べられる。危険』とのコメントも」

 ―屋号名「玉穂堂」の由来は

 田中さん「『玉穂堂』は、ずっと使われてなかった屋号を私が新しく開発した商品名義として復活させたものです。同様にあまり注目されていなかった商品やレシピを少しアレンジして、新しい商品、新しい切り口を作り上げたいと考えています。単純に新しければ何でも良いわけでなく、昔ながらの技や素材を使って新しいものが生まれるのが好きです」

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