富士山と太陽が織りなす絶景「ダイヤモンド富士」。日本で一番大きな富士山という台座の上に、巨大なダイヤモンドのような光が輝く、とてもレアな一瞬に立ち会ってみませんか。今回はこの絶景に出会える場所や期間、気象条件について詳しくご紹介します。
富士山と太陽のコラボ「ダイヤモンド富士」
ダイヤモンド富士とは、朝日が昇り富士山の山頂に重なる瞬間、そして夕日が沈み山頂に重なる瞬間に、太陽がダイヤモンドのように輝いて見える現象です。富士山頂に太陽がぴったりと重なり合う瞬間は、見る人の心を魅了します。
この富士山と太陽の共演が、さらに美しく見える場所があります。富士山の周辺には山中湖や本栖湖などの湖がいくつかあるため、ダイヤモンド富士がみられる時期には条件が揃えば、富士山と太陽が湖面に映る「ダブルダイヤモンド富士」を楽しむことができるのです。
なお、富士山の山頂に満月が重なる瞬間は「パール富士」と呼ばれています。
ダイヤモンド富士は いつ・どこで見られる?
ダイヤモンド富士はいつ、どこで見られるのでしょうか。
まず、場所です。富士山西側の一部から見ると、日の出がダイヤモンド富士に、富士山東側の一部から見ると、日没がダイヤモンド富士になります。
太陽の位置は日ごとに少しずつ変化するため、富士山と太陽がぴったりと重なるチャンスは、その場所で一年に2回しかありません。日の出のタイミングと、日の入りのタイミングです。
場所ごとにダイヤモンド富士が見られる日は年間で決まっています。
国土交通省関東地方整備局のデータによると、茨城県の権現山公園では1月30日31日と11月11日、東京の田園調布にある多摩川台公園では2月17日18日と10月24日25日、神奈川県の鎌倉海浜公園稲村ケ崎地区では4月4日5日と9月7日8日となっています。
これからの時期は、年に2度あるうち春にかけての「ダイヤモンド富士」ラッシュになりそうです。この機会を逃すと秋までチャンスは巡ってこないので、ぜひ観測に挑戦してはどうでしょうか。
なお、ダイヤモンド富士が見られる日付は、うるう年などの関係で、1日~2日程度ずれることがありますので、事前に日付や時間をよく調べてから出かけるようにしましょう。
ダイヤモンド富士を綺麗に見られる気象条件
ダイヤモンド富士を見るには、まず晴れていることが第一条件で、特に冬場は、一年の中でも特に美しいダイヤモンド富士を楽しむことができます。
なぜ、冬場が最適なのでしょうか。それは、冬の時期、西に高気圧、東に低気圧といった西高東低の「冬型の気圧配置」になることが多いためです。
ダイヤモンド富士が見られるエリア(茨城県・千葉県・埼玉県・東京都・神奈川県・山梨県)では、冬型の気圧配置になると、冬晴れとなり、空気がカラカラに乾きます。空気が乾くと、空気中の水蒸気が少なくなる分、景色がクリアに見えるのです。
3月から4月へと春本番になると、空気中に水蒸気が増えてくるため、晴れても、かすんで見えるようになります。これは「春霞」と呼ばれる現象です。ただ、柔らかな春の光で、ぼんやりと見えるダイヤモンド富士も、また風情があります。
冬から春に向けて、様々な所から、いろんな表情のダイヤモンド富士を楽しみたいものです。
ダイヤモンド富士を見る時の注意点
ただ、冬晴れになると、注意が必要なのが「寒さ」です。
良く晴れる日ほど、放射冷却が強まるので、気温がグングン下がります。日の出の時間は、一日で最も気温が低い時間帯です。
また、春先にかけて、昼間は暖かくなっても、日没を迎えると、気温が急激に下がります。ダイヤモンド富士の一瞬に出会うために、外で待っていると、急な気温の低下で体を冷やす心配があります。
ダイヤモンド富士は心温まる風景ですが、見る時は、暖かい服装を心がけてください。