れいわ山本代表、韓国中傷の声に文化交流呼びかけ~主演映画監督が明かす若き日の素顔

北村 泰介 北村 泰介
8月の街頭記者会見で聴衆との質疑応答に向き合う「れいわ新選組」の山本太郎代表=都内のJR新宿駅前
8月の街頭記者会見で聴衆との質疑応答に向き合う「れいわ新選組」の山本太郎代表=都内のJR新宿駅前

 韓国のホワイト国除外が閣議決定される前夜のこと。れいわ新選組の山本太郎代表(44)が東京・新宿で街頭記者会見を行い、蒸し暑い夜、1000人を超える聴衆を前に約2時間半も語り続けた。数多いテーマのうち、約10分間、日韓関係についての質問に答えていた時、突然、「韓国死ね!」と絶叫する若い女性が現れた。

 山本代表は演説を中断。「韓国死ね!」「韓国は死んでしまえ!」と興奮して叫び続ける女性に語り掛けた。「ありがとうございます。『韓国は死んでしまえ』と言われますが、韓国は死なないですね。日本も死なないように」。それでも女性は絶叫をやめず、会見が進行できないため、スタッフに抱えられてエリア外に連れて行かれた。このハプニングを受け、山本代表はロケで滞在した韓国での体験を語った。

 「16歳から芸能界にいて、韓国で撮影した日本映画や日韓合作映画にも出演させていただいた。3か月から半年くらいの撮影期間中は韓国のスタッフと交流。韓国の映画人は日本映画に影響を受けている。10年近く前にハリウッドの撮影システムを日本より早く導入して今の状況は変わったが、それでも、何の映画を観て育ったか、自分をリセットする映画人は誰やという話になった時、日本の映画人の名前が出てくる。日本映画をリスペクトする韓国の人たちと尊敬し合って仕事をした」

 タイトルこそ出さなかったが、彼が口にした「日韓合作映画」とは、2002年公開の「夜を賭けて」である。1958年、大阪に実在した朝鮮人集落を舞台にした群像劇。そのセットは韓国・郡山(クンサン)に作られ、長期ロケの間、生活を共にした。風吹ジュン、樹木希林さん、奥田瑛二、清川虹子さん、六平直政、唐十郎といったベテランが脇を固め、01年の撮影当時27歳だった俳優・山本太郎は鍛え上げられた肉体で主役の在日コリアン青年を熱演した。

 同作の監督であり、劇団「新宿梁山泊」の代表で演出家、俳優の金守珍(キム・スジン)氏(64)は振り返る。「太郎は飛び入りでオーディションを受けにきた。当時から反骨精神が半端じゃなく、梁石日(ヤン・ソギル)さんの原作も読んでいた。迷わず、彼に決まった」

 金氏は東京都出身の在日コリアン2世。「太郎の演説はYouTubeで見ていて、その言葉も聞きました。(憎悪の対象に)『死ね』と言う人は、その相手を知らないから」と指摘した。そして「太郎は弱者といわれる人たちの視線で、みなさんは民主主義の中で平等なんだということを伝えている。僕は投票権がないですけど、衆院選が楽しみ。希望が持てますね」と期待を込めた。

 また、金氏は「夜を賭けて」の続編に山本代表の出演を構想中と明かした。「シナリオを書き上げ、パート2を韓国映画として撮る方向で動いています。太郎ちゃんにぜひ出演願いたい」。もちろん、政治活動に配慮。「彼が演じた役は韓国のトップ俳優で。太郎ちゃんには大村収容所の所長役をぜひ」と呼びかけた。

 話を新宿の街頭に戻そう。山本代表は「映画の話をしましたが、いろんな面で文化的交流は必要になってくる。『韓国死ね』と、おっしゃった方も、おそらく交流がないんでしょうね。でも1カ月以内には焼肉を食べているかもしれない。冷静に、紳士的に対処するのが国際社会では成熟した国です」と締めくくった。

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